本文
【上越・糸魚川】救急患者の緊急度を判定する能力の向上のための研修会を開催しました
平成27年11月22日(日曜日)に上越総合病院において、病院の救急外来等に従事する医師、看護師等を対象に、救急患者の緊急度を判定する能力の向上のため、JTAS研修会を開催しました。
JTASシステムの概要
JTAS(ジェイタス:Japan Triage and Acuity Scale)とは、カナダにおいて10年以上運用されていた救急患者緊急度判定支援システム、「CTAS(シータス:Canadian Triage and Acuity Scale)」を基に、日本臨床救急医学会等が日本版として修正、開発した「緊急度判定システム」で、患者の症状等から5段階の「緊急度」を判定することが可能となります。
臨床現場における日常診療で経験則や暗黙知として運用されている確認項目等が具体的に明示され、「緊急度」を客観的に導くことができるシステムとして海外でも注目されています。
※Triage(トリアージ)とは 患者の病型と緊急度によって、治療・処置の優先順位付けと分類を行う過程
上越医療圏域(上越地域・糸魚川地域)が抱える救急医療の課題
住民アンケート結果(抜粋)
上越医療圏域(上越地域・糸魚川地域)の救急医療対策の検討を目的に救急病院、医師会、消防、行政機関で構成される「上越・糸魚川救急医療連絡協議会(事務局:上越地域振興局健康福祉環境部、糸魚川地域振興局健康福祉部)」では、平成25年度に、地域の救急医療の実態を把握するため住民アンケートを実施しました。
アンケートの結果、住民の皆様が「自身の症状は緊急を要すのか」「救急外来を受診すべきなのか」などを相談できる体制の充実を求める声が大きいことが明らかになりました。
これを受け、当地域の救急外来等で電話相談の受け手を担っている看護師等の緊急度判定に関するレベルアップ、及び上越圏域へのJTASシステムの普及を図ることを目的とし、JTAS研修を開催することとなりました。
研修内容
マイクをお持ちの方が奥寺教授です
研修会には、病院の救急外来等に従事する医師、看護師及び消防機関の救急救命士等の医療関係者が参加し、日本臨床救急医学会においてJTASシステム開発の中心的な役割を担われた富山大学医学部 奥寺 敬 教授にお越しいただき、講演を行っていただきました。
奥寺教授からはJTASの成り立ち、システム概要、院内トリアージ等についてお話をいただきました。
講演の後は、JTASシステムがインストールされたipad使用して受講者自身がケガ、病気など30症例の緊急度判定を行いました。
受講者が判定した緊急度、判定に至るまでのプロセス等に対しては、奧寺教授から的確なアドバイスをいただき、受講者も熱心に耳を傾けていました。
緊急度判定では活発な議論も見受けられました。
グループごとに判定した緊急度、判定に至るまでのプロセス等を発表します。
今回の研修を終えて、受講者からは「今まで自分が行ってきた判断・行為をあらためて考える良い機会だった。」「どのような病態を何科に搬送すべきかを理解するのに有用だった。」「今日の研修からもっと適切にトリアージし患者を診療できるようにしていきたいと思う。」等の声が寄せられました。
地域の救急医療体制の維持にご協力をお願いします
電話相談体制の充実を実現するためには多くの課題がありますが、上越・糸魚川救急医療連絡協議会では、今後も地域の救急医療体制の維持に向けた取組を進めてまいります。
地域住民の皆様におかれましては、病院の救急外来は限られた医療スタッフで対応していること、病院の救急外来は本来、命の危機にある「緊急性」の高い患者のためにあることをご理解いただき、不要不急、安易な救急車、夜間・休日の救急外来の利用をお止めいただき、地域の救急医療体制の維持にご協力いただけるようお願いします。