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新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の【保環研】 調査研究 《共同研究》
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【保環研】 調査研究 《共同研究》

2015年03月02日

共同研究の概要

◆平成25年度に他の機関と共同で行った研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
   1.ロタウイルスのサーベイランスに関する研究
   2.食品中の病原ウイルスの検出法に関する研究
   3.ノロウイルスデータベース共有化の試み
   4.成人の侵襲性肺炎球菌感染症患者から分離された肺炎球菌の血清型別について
   5.Mycoplasma pneumoniae の遺伝子型別と薬剤耐性に関する研究
   6.各種有害物質の適時及び継続的な摂取量推定研究
   7.PM2.5の短期的/長期的環境基準超過をもたらす汚染機構の解明
   8.全国の環境研究機関の有機的連携によるPM2.5汚染の実態解明と発生源寄与評価
   9.オゾン植物影響パイロット・モニタリング
   10.山地森林生態系における生物・環境モニタリングシステムの構築
   11.沿岸海域環境の診断と地球温暖化の影響評価のためのモニタリング手法の提唱

1.ロタウイルスのサーベイランスに関する研究

 本研究は、新潟大学医歯学総合病院小児科大石智洋助教との共同研究として実施した。
 平成25年度は、医療機関の簡易検査でロタウイルスが陽性となった患者便48検体及び患者血清16検体について、RT-PCR法によりロタウイルスの検索を実施した。44検体の便と9検体の血清からロタウイルスの遺伝子を検出した。便から検出されたロタウイルスのVP7とVP4の遺伝子型別では、G1P8;39件、G2P4;5件とG1P8が多くを占めた。平成23年度はG3P8が82%、平成24年度はG9P8(50%)とG1P8(45%)が多かったが、平成25年度はG1P8が89%を占め年毎の変動が確認された。

2.食品中の病原ウイルスの検出法に関する研究

 本研究は、厚生労働科学研究「食品中の病原ウイルスの検出法に関する研究」(代表研究者 国立医薬品食品衛生研究所 野田衛)の一環として行った。
 食品ウイルス検査の精度管理体制の確立のため、外部精度管理に参加した。陽性試料2検体、陰性試料1検体が配布され、指定された方法と所独自の方法で検査を実施した。指定された方法においても参加機関間のばらつきがあり、検査方法の共通化と検量線用標準サンプルの統一が課題となった。
 平成25年2月に、県内のスーパーで購入した生カキ6ロット(生食用2ロット、加熱調理用4ロット)について、1ロットにつき3検体を抽出し、ノロウイルスとサポウイルスの検索を実施した。6ロット全てからノロウイルスが検出され、うち5ロットからはノロウイルスGⅡ.4 Sydney2012変異株が検出された。平成24年-25年シーズンはノロウイルスGⅡ.4 Sydney2012変異株が流行したが、この影響がカキに及んでいることが確認された。加熱調理用カキは全ての検体からノロウイルスが検出されたが、生食用は2ロットとも3検体中1検体のみが陽性となり、生食用カキのほうが汚染率が低かった。サポウイルスGI.2が加熱調理用のカキ3ロット3検体から検出され、サポウイルスの汚染も確認された。

3.ノロウイルスデータベース共有化の試み

 本研究は、厚生労働科学研究「食中毒調査の精度向上のための手法等に関する調査研究」の分担研究として行われており(代表研究者 国立医薬品食品衛生研究所 野田衛)、その一環として行った。
 全国からノロウイルス、サポウイルスの遺伝子データを収集し、分子疫学的に解析して還元することを試行的に実施し、広域食中毒事例の早期発見などの食中毒調査の精度向上に資することを目的として行われている。
 当所からは、平成25年度は食中毒疑い事例2件、胃腸炎の集団発生事例3件、合計5件の登録を実施した。内訳は、ノロウイルスGⅠ.2;1件、GⅡ.6;1件、GⅡ.4;2件、サポウイルスGⅠ-1;1件であった。

4.成人の侵襲性肺炎球菌感染症患者から分離された肺炎球菌の血清型別について

 本研究は厚生労働科学研究「成人の重症肺炎サーベイランス構築に関する研究」(研究代表者 国立感染症研究所 大石和徳)の一環として行った。
平成25年4月から、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の一部が改正され、「侵襲性肺炎球菌感染症」および「侵襲性インフルエンザ菌感染症」が5類感染症に追加された。一方、平成25年度から小児を対象としたPCV7、Hibワクチンが公費助成になったことから、それぞれの患者から分離される菌株の血清型が注目されている。
 本研究は地方衛生研究所が関与するサーベイランス体制の構築を目的として、10自治体が抽出された。これらの患者から分離された菌株は医療機関から当所に送付され、Multiplex serotyping PCR法により血清型のスクリーニング検査を実施した後、国立感染症研究所で莢膜膨化法による血清型別を実施することとした。インフルエンザ菌についても、当所に送付された菌株は市販抗血清による血清型別及びPCR法による血清型別を実施した後、国立感染症研究所に送付することとした。
 平成25年11月から平成26年3月に当所に送付された菌株は侵襲性肺炎球菌感染症患者11名から分離された15株だった。侵襲性インフルエンザ菌感染症の届出はなかった。肺炎球菌の血清型は国立感染症研究所で莢膜膨化法により型別され、血清型3が3株、6Cが1株、15Aが3株、19Fが1株、22Fが4株、23Aが3株だった。これらの株のうち、1種類の血清型につき1株ずつを当所でMultiplex serotyping PCRを実施したところ、莢膜膨化法による型別結果と矛盾しなかった。このことから、当所においてMultiplex serotyping PCR法は肺炎球菌の血清型別のスクリーニングに十分対応できることが分かった。

5.Mycoplasma pneumoniae の遺伝子型別と薬剤耐性に関する研究

 本研究は新潟大学医歯学総合病院小児科大石智洋助教との共同研究として実施した。
 平成25年度は新潟大学医歯学総合病院でマイコプラズマ肺炎と診断された患者の咽頭拭い液 DNA抽出物12検体について、マクロライド耐性化に寄与する遺伝子変異の検出をPCR-RFLP法により実施した。マクロライド耐性化はマクロライドの作用部位である23SリボソームRNAの変異により起こり、その多くがA2063G変異であると言われているため、まず、A2063G変異の検出を実施し、A2063G変異が検出されなかった検体についてA2064G変異の検出を実施した。12検体中4検体でドメインⅤ領域の増幅が見られず、増幅された8検体中4検体からA2063G変異を検出した。A2063G変異が検出されなかった4検体についてはA2064G変異は見られなかった。

6.各種有害物質の適時及び継続的な摂取量推定研究

 本研究は、厚生労働科学研究「食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究」のなかで、国立医薬品食品衛生研究所が中心となり実施されている。当所は他の地方衛生研究所等9機関と共に協力機関として参加しており、食品中の有害物質分析用試料の調製及び提供を行った。
 試料は、マーケット・バスケット方式により食品を13の群に分割して調製し、それに飲料水を加えた14の食品群を国立医薬品食品衛生研究所に提供した。また、本試料を用い、食品由来のPCB及び水銀の摂取量調査を行った。

7.PM2.5の短期的/長期的環境基準超過をもたらす汚染機構の解明

 PM2.5の大気環境基準は、質量濃度の連続測定結果に基づく短期的および長期的な評価基準からなっている。これらの環境基準達成に資する知見を得るためには、短期的な高濃度汚染事例および長期的・平均的な汚染状況に対応した成分分析を含む観測が必須とされる。また、汚染機構や発生源寄与を評価するための各種モデルによる解析も必要とされる。
 これらを総合してPM2.5の環境基準超過の要因を検討するために、本研究は、国立環境研究所と複数の自治体機関の協働により、①高濃度汚染時のPM2.5観測・データベース化、②レセプターモデルによる発生源種別寄与評価、③化学輸送モデルによる地域別寄与評価、④季節別測定データと長期平均値の関係解析、⑤PM2.5に関する他の測定項目や手法による汚染機構解明研究を行い、短期的および長期的評価基準対策に資する知見を得ることを目的としている。
 25年度は各サブテーマごとに参加機関を振り分け、研究体制を整備し、研究実行計画を作成することとした。新潟県は①の高濃度汚染時のPM2.5観測とデータベース化に参画し、大気汚染予測システムに基づき、高濃度汚染の発生が予想される期間に観測を実施し、試料を採取することとした。

8.全国の環境研究機関の有機的連携によるPM2.5汚染の実態解明と発生源寄与評価

 全国10数カ所観測拠点を展開し、同一手法でPM2.5質量濃度の連続観測及び常時監視網より時間分解能の高い成分濃度測定を行い、全国的なPM2.5濃度及び成分についての実態を把握することを目的としている。また、発生源別の排出粒子組成情報のデータベースの作成、化学輸送モデルなどの数値シミュレーション手法などを活用し、日本におけるPM2.5の発生源寄与率及び越境汚染寄与率を推定することを目標としている。
 25年度は前年度に引き続き、国設佐渡関岬酸性雨測定所と国設新潟巻酸性雨測定所の2地点で、PM2.5自動測定装置による1時間毎の自動観測を実施するとともに、フィルターサンプリング装置により、5月、7-8月の2回、2週間連続の集中観測(佐渡関岬測定所は12時間毎、新潟巻測定所は6時間毎)を実施し、得られたPM2.5試料の成分分析を実施した。

9.オゾン植物影響パイロット・モニタリング

 オゾンによる植物影響に関するモニタリング手法を検討するために、植物葉へのオゾンによる可視被害の観察や森林地域におけるオゾン濃度測定についてのパイロット的なモニタリングを全国の自治体の中で、新潟県、北海道及び福岡県がアジア大気汚染研究センターとの共同研究として実施している。
 新潟県では南魚沼市内の八海山展望台付近の森林を対象として、オゾン計を用いたオゾン濃度の観測やブナなどの植物影響に関する調査を実施している。

10.山地森林生態系における生物・環境モニタリングシステムの構築

 近年、全国各地のブナ林においてブナの衰退現象が報告されており、その要因として、長距離移流によるオゾン濃度の上昇やシカ等の食害による林床植生の破壊などが指摘されている。本研究では、ブナ林を中心とした山地森林生態系の存続を脅かすと考えられる要因(オゾン、地球温暖化、シカ食害、虫害等)について、生態学的、環境科学的視点から、統合的に評価するための長期継続モニタリング手法を確立することを目的としている。
 新潟県では、八海山展望台周辺のブナ林を対象として、植物影響に係る調査を実施し、併せて、八海山周辺地域でパッシブサンプラーを用いたオゾン等の大気中濃度の観測を実施している。

11.沿岸海域環境の診断と地球温暖化の影響評価のためのモニタリング手法の提唱

 本研究は全国の沿岸海域で見られる非汚濁海域におけるCODの漸増傾向と環境基準超過要因を明らかにすると共に、世界中の沿岸海域において漁業への影響が懸念されている貧酸素水塊の発生状況を把握することを目的とする。国立環境研究所が主体となり地方環境研究所等と共同で平成23~25年度に渡り実施された。沿岸海域でのCOD、底層溶存酸素(DO)、有機炭素類及びクロロフィル等の調査を行い、得られた知見は環境省で現在検討されている底層DOの新規水環境目標・環境基準策定や沿岸海域水環境の測定方法に関する資料となる。平成25年度は、平成24年度に引き続き、本県沿岸海域2地点において採水を実施し、試料を国立環境研究所へ送付した。また、そのうち1地点において多項目水質計による底層DOの測定を実施したが、貧酸素水塊の発生は認められなかった。

過去に行った共同研究