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新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の【保環研】 調査研究 《経常研究》
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【保環研】 調査研究 《経常研究》

2015年03月02日

経常研究の概要

◆平成25年度に行った経常研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
   1.民生部門における温室効果ガスの削減効果に関する調査研究(完了)
   2.マイコプラズマ肺炎の迅速診断法の検討とマクロライド耐性 M. pneumoniaeの遺伝子解析(新規)
   3.便からのクドア定量検査の検討(新規)
   4.複数の呼吸器感染症起因ウイルスの遺伝子同時検出方法の検討(継続)
   5.畜水産物中の農薬分析法の検討(完了)
   6.治療濃度域の狭い医薬品における溶出特性の経時的安定性に関する評価(新規)
   7.河川における農薬の分布と消長に関する研究(完了)
   8.新潟県内河川におけるマンガン実態調査(完了)
   9.航空機騒音に係る環境基準の新たな評価方法に関する基礎的検討(完了)
   10.GC/MSによるPCB測定の基礎的検討(完了)

1 民生部門における温室効果ガスの削減効果に関する調査研究

二酸化炭素排出のイメージ

 我が国の温室効果ガス排出量の約3割は民生部門によるものであり、他の部門に比べて増加傾向が強くなっている。そこで、この民生部門を対象に、新潟県における温室効果ガスの排出量についての削減余地の算定や削減対策の効果を推定することを目的として、生活様式改善及び省エネ技術導入効果の評価に取り組んでいる。
 平成25年度は、家庭での節電行動の取組状況、家電製品の所有状況等のアンケート調査を実施し、結果の解析を行った。その結果、民生家庭部門では約89万t-CO2/年(平成23年度の民生家庭部門の温室効果ガス排出量の約19%)の温室効果ガスを削減する余地があること等がわかった。

2 マイコプラズマ肺炎の迅速診断法の検討とマクロライド耐性 M. pneumoniae の遺伝子解析

 マイコプラズマ肺炎は平成23年6月頃から、定点あたりの報告数が全国で急増した。しかし、基幹定点からの報告であるため、必ずしもその地域全体の流行を反映していない可能性がある。また、小児の治療ではマクロライド系薬剤が第一選択薬として使用されているが、2000年代後半からマクロライド耐性菌の割合が上昇している。
 平成25年度は県内医療機関で採取された咽頭拭い液を用いてnested-PCR法及び培養法によりM. pneumoniae の検出率を調査した。

3 便からのクドア定量検査の検討

 平成23年、ヒラメに寄生するKudoa septempunctataが、食中毒の病因物質に指定され、食中毒調査ではヒラメの検査が実施されるようになったが、ヒラメの残品がない場合や疫学的情報の不足から、便検査実施の要望がある。また、県内ではヒラメによる食中毒同様、食後短時間で下痢や嘔吐を発症する原因不明有症事例でメジマグロが提供されていた事例が複数例あり、他自治体でも同様の事例の発生やメジマグロと下痢症の相関を示唆する報告もある。そこで、クドアによる食中毒の判断に資するため、便検査法としてNucleoSpin Soil(MACHEREY-NAGEL)を含む3種類のキットを用いてクドアDNA抽出法を比較した。さらに、クドア食中毒調査における便検査の有効性を確認するため、メジマグロ摂取後の便へのクドア(K. neothunni)の排出状況を測定した。結果、抽出法の比較ではNucleoSpin Soilが検出感度と阻害物質除去の点で優れていた。また、メジマグロを用いた実験結果から、便からのクドア検出には喫食後、早期に検体を採取することが重要で、喫食後おおむね3日以内の便採取が適当であると考えられた。

4 複数の呼吸器感染症起因ウイルスの遺伝子同時検出方法の検討

 呼吸器感染症起因ウイルスの検索は、これまで主に培養法により検出してきたが、ヒトメタニューモウイルスやライノウイルスC群など培養法では検出が困難なウイルスもあるため遺伝子検査法による検出が必要となってきている。呼吸器感染症の起因ウイルスは種類も多く、個々に遺伝子を検出する方法では手間が多く作業が煩雑となる。そこで複数のウイルスを同時に検出できる効率的な方法としてSYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法の検討を実施することとした。
 平成25年度は、検索するウイルスの遺伝子部位とプライマーを選定し、複数のウイルスを同時に検出することが可能か、培養ウイルスを用いて検討を行った。その結果、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス1型、2型、3型、ヒトライノウイルス及びヒトメタニューモウイルスについて検出が可能であった。
 今後は呼吸器ウイルスが陽性となった臨床検体を対象に、これまでに構築できたSYBR Green法による検出系が適用できるかどうか検討を行う。

5 畜水産物中の農薬分析法の検討

 農薬が検出された飼料が家畜に給与された事例などにより、畜産物への飼料由来の農薬残留が懸念されている。また田畑で使用された農薬の河川等への流入による水産物への農薬残留の可能性、さらに他県における養殖水産物からの農薬検出の問題などから、当所でも検査体制の充実を図る必要性があり、本研究を実施した。
 平成25年度は、改良を加えた分析法を用いて、農薬312項目について添加回収試験を行い試験法の妥当性を確認した。その結果、対象農薬の約7割が良好な結果となった。

6 治療濃度域の狭い医薬品における溶出特性の経時的安定性に関する評価

 医薬品は、その使用期限内において、品質が保たれなければならないが、薬効成分の溶出特性(溶出率及び溶出挙動)の経時的な変化を原因とする医薬品の回収事例が散見されている。特に治療濃度域の狭い医薬品(狭心症治療薬・糖尿病治療薬等)では、溶出挙動の変化が薬効や副作用の発現に影響する可能性が大きく、溶出挙動の安定性確保は重要なファクターとなる。しかし、これまで溶出挙動の経時的安定性に関する報告は少なく、また、製剤の添付文書やインタビューフォーム等に情報が公開されることも少ない。
 そこで、治療濃度域が狭い医薬品を対象に経時的な溶出率の変動及び溶出挙動の安定性について評価を行うこととした。
 平成25年度は、ジソピラミドカプセルについて検討を行った。

7 河川における農薬の分布と消長に関する研究

 新潟県は農業県であり、多種多様の農薬類が使用されている。当所では過去に県内河川の農薬モニタリング調査を実施しているが、農薬は年々新規成分が開発され、使用される農薬の成分は変化している。そこで、現在の状況を把握するため、平成24年度から新川、信濃川下流及び関川において農薬のモニタリング調査を実施し、地域特性及びその消長についてを調査することとした。平成25年度は昨年度に引き続き、新川及び信濃川下流で毎月調査を実施し、84物質をGC/MS及びLC/MSによる多成分同時分析法によって測定した。その結果、2地点で38物質を検出したが、環境基準値及び指針値等を超過するものはなかった。

8 新潟県内河川におけるマンガン実態調査

 本県が行っている公共用水域調査では、要監視項目である全マンガンが度々指針値を超過している。この傾向は下流域の排水河川において特に顕著であり、本県は全国的にも超過率が高い状況となっている。このことから、県内河川におけるマンガンの実態把握及び指針値超過原因の特定を目的とし、調査を行うこととした。
 平成25年度は昨年度に引き続き、新川水系の大通川のモニタリングを行った。これまでの調査で以下のことが明らかになった。① 大通川の全マンガン濃度は春季から夏季に低く、秋季から冬季に高くなる傾向が見られた。② 河川上流は河川下流部に比べて濃度が高い傾向が見られた。③ マンガンは時期によらず主に溶解性成分として存在していた。④ マンガンは酸化還元電位と負の相関があった。

9 航空機騒音に係る環境基準の新たな評価方法に関する基礎的検討

 平成25年度より、航空機騒音の環境基準の評価指標が従来の加重等価平均感覚騒音レベル(WECPNL)から時間帯補正等価騒音レベル(Lden)へと変更された。このため、評価指標変更が航空機騒音監視に与える影響を確認・評価し、監視の継続性を確保するため、新潟空港の測定データを用いて、新旧評価指標の比較を行った。
 その結果、新潟空港におけるすべての騒音監視地点で、新指標による評価は旧指標よりも環境基準を達成しやすくなっていることがわかった。

10 GC/MSによるPCB測定の基礎的検討

 当所では地下水の常時監視及び絶縁油の漏えい等の事案対応としてパックドカラム-GC/ECD法で分析を行っているが、より精度の高いPCB分析を実施するため、近年公定法として採用されているキャピラリーカラム-GC/MS法による分析法を検討した。
 GC/MSの中でも、高感度かつ精密な測定ができるGC/高分解能MSを用いることにより、PCB全209異性体の測定が可能となった。また、「絶縁油中の微量PCB簡易測定法マニュアル」(環境省)に従い、実際にPCBを含有する絶縁油の標準認証物質を測定し、良好な結果が得られた。

過去に行った経常研究