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新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の【保環研】 調査研究 《経常研究》
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【保環研】 調査研究 《経常研究》

2013年07月12日

経常研究の概要

◆平成23年度に行った経常研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
   1.GIS(地理情報システム)の環境・保健情報解析への活用に関する調査研究(継続)
   2.民生部門における温室効果ガスの削減効果に関する調査研究(継続)
   3.VNTR法を用いた結核菌遺伝子型別に関する検討(継続)
   4.黄色ブドウ球菌の疫学解析手法の検討(新規)
   5.SYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法による下痢症ウイルスの検索(新規)
   6.インフルエンザウイルスの遺伝子変異と強毒株の発生に関する調査(新規)
   7.畜水産物食品中の動物用医薬品一斉分析法の検討(継続)
   8.畜水産物中の農薬分析法の検討(新規)
   9.化学物質事故等に対応するための測定技術の構築(継続)
   10.新潟県内河川における農薬類のモニタリング調査(継続)
   11.新潟県内河川におけるマンガンの実態調査(新規)

1.GIS(地理情報システム)の環境・保健情報解析への活用に関する調査研究

 地理情報システム(GIS)は,環境情報の解析分野においても有効性が高いとされ利用が進みつつある.
 本研究では,環境・保健行政の担当者が県内における環境や保健に関する地理情報を把握し,行政課題の解決に役立てるため,地理情報システムを用いた環境・保健情報解析システムの活用を検討することを目的としている.
 平成23年度は,各種の環境情報を一元管理する環境情報マップの試作版についてデータ入力を進め,行政への提供及び説明を行った.

2.民生部門における温室効果ガスの削減効果に関する調査研究

二酸化炭素排出のイメージ

 新潟県における民生部門の温室効果ガス排出実態については,電力,ガス及び各種燃油の県内使用量をもとに合計値は推計されているが,冷暖房や給油,電気機器といった用途別の内訳を解析した推計は行われていない.このため,排出量の削減可能性(削減ポテンシャル)の算定や対策効果の推定などを定量的に評価することが困難な状況にある.
 そこで,民生部門の排出実態を明らかにすることで,生活様式の改善や省エネ技術の導入による温室効果ガスの削減効果を検討することとした.
 平成23年度は,家庭における消費電力量を解析した.

3.VNTR法を用いた結核菌遺伝子型別に関する検討

 結核対策は,感染源の究明が重要であるが,患者調査を主体とした疫学調査に加えて,近年は結核菌の遺伝子型別検査を行うことにより,さらに正確な感染の実像を明らかにすることができるようになってきている.
 最近,結核菌の新しい遺伝子型別法として,VNTR法が開発され,また,公益財団法人結核予防会結核研究所が日本国内の結核菌の遺伝子型別のためにJATA(12)-VNTR分析法を確立した.
 平成23年度は,県内の保健所から提供された結核菌株を用いて,JATA(12)-VNTR分析法による遺伝子型別を実施した.また,Warrenらの方法に従い北京型及び非北京型の分類も併せて実施した.
 その結果,患者間の関連性が明らかな菌株同士のVNTR型は一致した.また,県内の結核患者は北京型と非北京型の両方の型が混在していることが判明した.

4.黄色ブドウ球菌の疫学解析手法の検討

黄色ブドウ球菌は食品中で増殖し耐熱性エンテロトキシン(SE)を産生し毒素型食中毒を引き起こすが,ヒトの表皮や腸管の常在菌であるため,食中毒事案対応時には検出された菌のSE産生性だけでなく疫学解析結果が重要となる.疫学マーカーとしてのコアグラーゼ型別試験やPFGE法は熟練した技術を要し,結果判明までに2~5日以上必要である.また,近年A~E型の5種のSEに加えて新型SEの存在が明らかになっている.
 平成23年度は,コアグラーゼ型別試験のPCR法適用による迅速化について検討し,その結果有用であることが分かった.また,新型を含めたSE産生遺伝子保有状況及びコアグラーゼ型の疫学的特徴について解析するため県内で発生した食中毒由来株等を収集した.

5.SYBR Greenを用いたリアルタイムPCR法による下痢症ウイルスの検索

 従来から下痢症ウイルスの検索は,対象ウイルスが多数あるためミックスプライマーを用いたPCRで,電気泳動により検出を行ってきた.ミックスプライマーは1反応で複数のターゲットを同時に検出できるメリットはあるが,検出感度は単独プライマーで使用する場合より劣る.また,電気泳動による検出は,泳動用ゲルの維持や操作,判定の煩雑さを考えると,多数検体には不向きである.本研究では,下痢症の原因となるノロウイルスGⅠ,GⅡ,サポウイルス,アストロウイルス,アデノウイルス,A群及びC群ロタウイルスの検出をSYBR Greenを用いて,単独プライマーのリアルタイムPCR法を行い,PCR産物の有無を融解曲線分析で判定することを目的としている.これにより,単独プライマーの使用による検出感度の向上と,電気泳動が不要となるため判定作業の効率化が期待できる.今年度は,リアルタイムPCRの反応系を確立し,融解曲線分析で目的ウイルスの増幅産物が示す融解温度(Tm値)を確認した.

6.インフルエンザウイルスの遺伝子変異と強毒株の発生に関する調査

 インフルエンザウイルスは,ヘマグルチニン(HA)遺伝子の変異により抗原性が連続的に変異して,毎年のように流行を繰り返し,更に8分節の遺伝子の組み換えによる不連続変異により世界的な大流行いわゆるpandemicを起こしてきた.当初では,今まで,インフルエンザウイルスの型別と抗原性の確認しか実施してこなかった.夏期におけるインフルエンザの発生など,今まで経験の無いインフルエンザの動向が把握されて,その由来の確認が必要となったり,薬剤耐性遺伝子の変異の監視が必要となったりと,遺伝子の解析が求められている.
 平成23年度は,HA及びNA遺伝子の塩基配列の解析の準備として,プライマーの整備,PCR増幅条件,遺伝子解析条件などについて検討した.2011-12シーズンに流行したA/H3株は,2010-2011シーズン検出株と異なり,ワクチン株からの抗原性の変異が確認されたことから,A/H3株のHA遺伝子について解析を実施した.抗原性の変異に関与していると考えられるアミノ酸変位について解析している.

7.畜水産物食品中の動物用医薬品一斉分析法の検討

 平成18年5月施行のポジティブリスト制により,大幅に増加した規制対象の動物用医薬品を迅速に分析できるようにするために,LC/MSによる一斉分析法の検討を行った.
 平成23年度は,前年度の検討で確認されたマトリックス効果を考慮した分析法を検討した.

8.畜水産物中の農薬分析法の検討

 農薬が検出された飼料が畜産に給与された事例などにより,畜産物への飼料由来の農薬残留が懸念されている.また田畑で使用された農薬の河川等への流入による水産物への農薬残留の可能性,さらに他県における養殖水産物からの農薬検出の問題などから,当所でも検査体制の充実を図る必要性があり,本研究を開始した.
 畜水産物中の残留農薬分析では,農産物と異なり,脂肪や蛋白など様々な生体成分の影響を考慮しなければならない.それらの成分は測定の妨害となりうるため,前処理段階での除去効率の良い分析法について検討することとした.
 平成23年度は,主に市販の精製用ミニカラムを利用して,分析の妨害となる成分を効率よく除去する前処理方法の検討を行った.

9.化学物質事故等に対応するための測定技術の構築

 化学物質事故等発生により有害化学物質が大気中に排出された場合,被害を最小限とするために速やかな原因物質の究明,また,事故発生後にはモニタリング調査の実施が必要となる.
 そこで,新潟県内で対象となりうる化合物をPRTR届出データから拾い出し,環境への排出量と毒性の観点からモニタリング対象物質を優先順位付けした.また,当所で対応しうる試料採取方法と測定方法を各対象物質ごとに整理した.

10.新潟県内河川における農薬類のモニタリング調査

 新潟県は農業県であり,多種多様の農薬類が使用されている.過去には信濃川及び新川において農薬類のモニタリングを実施し,農薬の使用時期に応じて検出されることが明らかとなっている.しかしながら,近年は農薬類のモニタリングを実施しておらず,また使用されている農薬の種類も変化していることから現状は不明といえる.そこで,新潟県内河川において継続的に農薬類をモニタリングし,その存在状況及び季節変動等を把握することとした.
 平成23年度は,GC/MS及びLC/MSによる農薬類の多成分同時分析法によって,新潟市内の農業用排水路及び農業排水が流入する新川においてモニタリング調査を実施した.

11.新潟県内河川におけるマンガン実態調査

 本県の行っている公共用水域調査では,要監視項目である全マンガンが度々指針値を超過している.なお,この傾向は下流域の排水河川において特に顕著であり,本県は全国的にも超過率が高い状況となっている.このことから,県内河川におけるマンガンの実態把握及び指針値超過原因の特定を目的とし,調査を行うこととした.
 平成23年度は,過去の調査結果から指針値超過河川の状況について整理を行った.また,それらの結果及び河川周辺の状況を踏まえ,本調査では大通川を調査対象とすることとし,現地確認及び概況調査を行った.

過去に行った経常研究