このページの先頭です メニューをとばして、このページの本文へ
新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の【保環研】 調査研究 《経常研究》
本文はここから

【保環研】 調査研究 《経常研究》

2012年02月20日

経常研究の概要

◆平成22年度に行った経常研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
   1.GIS(地理情報システム)の環境・保健情報解析への活用に関する調査研究
   2.民生部門における温室効果ガスの削減効果に関する調査研究
   3.食中毒発生時における病原大腸菌検査の迅速化に関する検討
   4.VNTR法を用いた結核菌遺伝子型別に関する検討
   5.タミフル耐性インフルエンザウイルスの検出に関する調査研究
   6.ノロウイルス汚染食品の検査限界の確認に関する調査研究
   7.畜水産物食品中の動物用医薬品一斉分析法の検討
   8.化学物質事故等に対応するための測定技術の構築
   9.新潟県内河川における農薬類のモニタリング調査
   10.地下水中における「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」による汚染実態調査

1.GIS(地理情報システム)の環境・保健情報解析への活用に関する調査研究

 地理情報システム(GIS)は,環境情報の解析分野においても有効性が高いとされ利用が進みつつある.
 本研究では,環境・保健行政の担当者が県内における環境や保健に関する地理情報を把握し,行政課題の解決に役立てるため,地理情報システムを用いた環境・保健情報解析システム活用を検討することを目的としている.
 平成22年度は,各種の環境情報を一元管理する環境情報マップの試作版についてデータ入力を進めた.また,温泉中のホウ素濃度のGISによる解析に取組んだ.

2.民生部門における温室効果ガスの削減効果に関する調査研究

二酸化炭素排出のイメージ

 新潟県における民生部門の温室効果ガス排出実態については,電力,ガス及び各種燃油の県内使用量をもとに合計値は推計されているが,冷暖房や給油,電気機器といった用途別の内訳を解析した推計は行われていない.このため,排出量の削減可能性(削減ポテンシャル)の算定や対策効果の推定などを定量的に評価することが困難な状況にある.
 そこで,民生部門の排出実態を明らかにすることで,生活様式の改善や省エネ技術の導入による温室効果ガスの削減効果を検討することとした.
 平成22年度は,民生部門で排出される二酸化炭素の量について,文献調査により,暖房,給油,厨房及び電気機器等の内訳を調査した.

3.食中毒発生時における病原大腸菌検査の迅速化に関する検討

 現行の病原大腸菌スクリーニング検査では検体の分離培養平板から大腸菌を同定後に血清型別を実施している.その後,スクリーニング検査で陽性となった菌株についてPCR法による病原因子確認検査を行っている.このため,同定・血清型別に多大な労力と時間を必要とするばかりか未知の血清型については対応できない可能性がある.食中毒発生時には迅速且つ正確な検査情報が求められるため,スクリーニング検査にPCR法を利用することによる病原大腸菌検索の迅速化・効率化について検討した.

4.VNTR法を用いた結核菌遺伝子型別に関する検討

 結核対策は,感染源の究明が重要であるが,患者調査を主体とした疫学調査に加えて,近年は結核菌の遺伝子型別検査を行うことにより,さらに正確な感染の実像を明らかにすることができるようになってきている.
 最近,結核菌の新しい遺伝子型別法として,VNTR法が開発され,また,公益財団法人結核予防会結核研究所が日本国内の結核菌の遺伝子型別のためにJATA(12)-VNTR分析法を確立した.
 平成22年度は,このJATA(12)-VNTR分析法に則って,当所の分析装置に適した分析条件の検討を実施した.
 また,当所保存株及び県内の保健所から提供された結核菌株を用いて,JATA(12)-VNTR分析法による遺伝子型別を実施した.
 その結果,患者間の関連性が明らかな菌株については,それぞれ同一のパターンを示した.

5.タミフル耐性インフルエンザウイルスの検出に関する調査研究

現在,国内流行のインフルエンザ治療にはオセルタミビル製剤(商品名タミフル,以下「タミフル」)が主に使用されているが,2007年11月以降,欧米各国でタミフル耐性ウイルスが検出された.このような状況の中で,県内でのタミフル耐性株の動向を探り,インフルエンザ防疫対策に必要なデータを蓄積する必要性があり,本研究を開始した.
 2008/09シーズンまでは季節性インフルエンザのAソ連型について,アミノ酸遺伝子変異H275Yを調査してきたが,2009/10シーズンからはA/H1N1pdm09が流行したため,対象ウイルスをA/H1N1pdm09に変更して調査を行った.2010/11シーズンは,対象ウイルスを同じくA/H1N1pdm09とし,検査法を国立感染症研究所の示した実施要綱に基づきシークエンス法からTaqManRT-PCR法に変更し実施した.今シーズン分離したA/H1N1pdm09 127株全てに対し検査を実施し,5株にアミノ酸遺伝子変異H275Yを検出した.この5株を国立感染症研究所に送付し薬剤感受性試験を実施したところ,5株全てがオセルタミビル及びペラミビル(2010年1月に承認されたインフルエンザ治療薬)に対して感受性が低下した株であった.

6.ノロウイルス汚染食品の検査限界の確認に関する調査研究

 食中毒の検査は病因物質の特定と汚染経路の解明にあるが,ノロウイルスは培養検査ができないため,付着量が少ない食品検体からの検出例は少なく,汚染経路が解明されることは少ない.特に,調理従事者由来と考えられる食中毒事例が多く,表面汚染の検出が課題である. 野菜や果実などの表面汚染では,食品由来のタンパク量が少なく,ポリエチレングリコールを使用した沈殿法ではウイルスが十分沈殿しない.そこで,タンパク性粒子のウイルスを牛血清アルブミンで共沈させる効果を取り入れ,牛血清アルブミンとポリエチレングリコールを使用した二相分配法により,ノロウイルスを濃縮する方法を試みた.PBS(-)への添加回収試験を実施して,およそ50%の回収率が見込まれた.

7.畜水産物食品中の動物用医薬品一斉分析法の検討

 平成18年5月施行のポジティブリスト制により,大幅に増加した規制対象の動物用医薬品を迅速に分析できるようにするために,LC/MSによる一斉分析法の検討を行った.
 平成22年度は,一斉分析法を検討するにあたって,まず,8つの畜水産物食品について動物用医薬品34物質のマトリックス効果を確認した.その結果,マトリックス効果は食品及び物質により異なった.

8.化学物質事故等に対応するための測定技術の構築

 化学物質事故等発生により有害化学物質が大気中に排出された場合,被害を最小限とするために速やかな原因物質の究明,また,事故発生後にはモニタリング調査の実施が必要となる.
 そこで,新潟県における大気への排出量上位の物質をリストアップし,測定方法等の情報を収集した.
 今後これらの物質が,現有機器で測定可能であるか検討する.

9.新潟県内河川における農薬類のモニタリング調査

 新潟県は農業県であり,多種多様の農薬類が使用されている.過去には信濃川及び新川において農薬類のモニタリングを実施し,農薬の使用時期に応じて検出されることが明らかとなっている.しかしながら,近年は農薬類のモニタリングを実施しておらず,また使用されている農薬の種類も変化していることから現状は不明といえる.そこで,新潟県内河川において継続的に農薬類をモニタリングし,その存在状況及び季節変動等を把握することとした.
 平成22年度は,固相抽出-GC/MSによる農薬類の多成分同時分析法を検討した.また,信濃川及び新川の2河川で,GC/MS及びLC/MSを用いた農薬類のモニタリングを実施した.その結果,農薬18物質(除草剤10,殺菌剤7,殺虫剤1)が検出された.検出された農薬類のうち環境基準値,指針値が設定されているものは全て基準値等を下回っていた.

10.地下水中における「硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素」による汚染実態調査

 地下水中の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素による汚染は,全国的に顕著な事例が多い.
 本県でも,過去の地下水調査において,環境基準を超過して検出されており,将来,深刻な汚染の発生が懸念される.
 そこで,県内の地下水の硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素による汚染状況を調査し,その実態を把握することとした.地質との関係や発生源との関連等,汚染原因を解明することを目的に実施する.
 平成22年度は,他県事例等を中心に文献調査を実施した.また,本県の過去の地下水調査結果から,県内における硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素による汚染の状況を整理した.