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新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の【保環研】 平成21年度に行った共同研究
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【保環研】 平成21年度に行った共同研究

2011年02月21日

共同研究の概要

◆平成21年度に他の機関と共同で行った研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
   1.食品中のウイルスの制御に関する研究-GⅡ.4ノロウイルス新変異株の発生と動向の監視-
   2.TRC法を用いたノロウイルスRNA検査に関する研究
   3.日常食品中の汚染物質摂取量調査
   4.食品中に含まれる微量農薬の分析法と精度管理体制の構築に関する研究
   5.新潟県におけるオゾン高濃度現象の解明調査
   6.新発田市櫛形山脈山麓における生態影響解明調査
   7.農業活動に由来するアンモニアの発生実態と生態系影響のインパクト解析
   8.光化学オキシダントと粒子状物質等の汚染特性解明に関する研究
   9.残留性化学物質データの組織化と発生源解析

1.食品中のウイルスの制御に関する研究-GⅡ.4ノロウイルス新変異株の発生と動向の監視-

 過去に,GⅡ.4ノロウイルスの変異株の出現による胃腸炎の流行が繰り返されたことから,新たな変異株の出現が流行につながり,食中毒や胃腸炎の集団発生が多発するおそれがある.本研究は,厚生労働科学研究「食品中のウイルスの制御に関する研究」(代表者 国立医薬品食品衛生研究所 野田衛)の一環として,ノロウイルスの変異と流行を把握するために行った.
 本研究の結果は,平成21年度新潟県保健環境科学研究所年報研究報告編「GⅡ.4ノロウイルスの新変異株Apeldoorn317/2007/NLに近縁なノロウイルスによる胃腸炎の発生」に記載している.

2.TRC法を用いたノロウイルスRNA検査に関する研究

 検査試薬が改良され,その有効性を検討した.これまでGI, GIIの各遺伝子型でそれぞれ異なる試薬となっていたが,改良により,1試薬で両方の型の検出が可能となり,検出感度の向上も確認された.
 感染症事例での適応を引き続き実施した.検査結果は,PCR法との差はなく,ノロウイルスの定性検査であれば,感度の高い迅速な検査法として有効であると考えられた.
参考:日本ウイルス学会第56回学術集会講演抄録p.326(2008).

3.日常食品中の汚染物質摂取量調査

 本研究は厚生労働科学研究「食品中の有害物質等の摂取量の調査及び評価に関する研究」のうち国立医薬品食品衛生研究所が中心となり実施されている.当所は他の地方衛生研究所8機関と共に協力機関として参加しており,食品由来によるPCB,農薬及び重金属などの汚染物質の摂取量調査を行った.
 調査は,マーケット・バスケット方式により食品(13の群)と飲料水について107物質を測定した.その結果,下表の摂取量であった.

    日常食品中の汚染物摂取量  (μg/人/日)
 物質名  摂取量  物質名  摂取量
 PCB  0.19  水銀  8.13
 総DDT  0.22  鉛  33.0
 クロルデン類  0.07  カドミウム  16.6
 フェンバレレート  1.67  マンガン  3550
 臭素  5694  銅  1320
 ひ素  9.76  亜鉛  7040

4.食品中に含まれる微量農薬の分析法と精度管理体制の構築に関する研究

 本研究は厚生労働科学研究「検査機関の信頼性確保に関する研究」のうち大阪府立公衆衛生研究所が中心となり実施されており,当所は他の地方衛生研究所8機関と共に協力機関として参加している.
 平成21年度は, パンケーキに添加されたエスプロカルブ等10農薬についてGC/MS及びLC/MS/MSで測定し,外部精度管理試験及びサンプリング試験を実施した. また, 信頼性確保のための検証として, GC/MS及びLC/MS/MSともに各機関共通の標準液を使用し, さらにGC/MS性能チェック用標準液によるGC/MS性能テストを実施した.

5.新潟県におけるオゾン高濃度現象の解明調査

 新潟県内でオゾンが高濃度化している原因を解明するため,平成19年度から三カ年計画で,国立環境研究所,農業環境技術研究所,新潟大学及び日本環境衛生センター酸性雨研究センターと共同で表記の公害防止等試験研究費・地域密着型環境研究を実施した.当所は,山岳を含めた多地点観測によるオゾン汚染実態の把握を目的として,本研究におけるフィールド調査を主に担当した.平成19年度から21年度までの調査結果概要は以下のとおりである.
 既存測定局データの解析,山岳などの観測空白地域におけるオゾンの測定・解析,7Be測定による成層圏オゾン影響の把握,揮発性有機化合物(VOCs)の測定・解析を実施した結果,県内の平成4~22年度のオゾン濃度の年上昇率は0.25~0.88ppb/年であること,7Be濃度から推計した春季の成層圏オゾン影響は地上オゾンの20~25%であること,VOCs成分濃度から計算されたオゾン生成能は芳香族炭化水素類の寄与が大きいことなどを明らかにした.また,測定されたオゾン濃度をもとに,標高による濃度変化も考慮して,県内全域の詳細な月別オゾン濃度マップを作成し,広域的なオゾン汚染実態を把握した.
 本研究では他に,シミュレーションモデルによる高濃度現象の原因解明とオゾン生成の原因物質であるNO2やVOCsの排出削減効果の評価,オゾン応答を導入した作物成長モデルによる水稲に対するオゾン影響の評価を行った.それらを含んだ過年度の調査結果は,環境省「平成19年度環境保全研究成果集」「平成20年度環境保全研究成果集」としてそれぞれ公表されており,平成19年度から21年度の調査結果は「平成21年度環境保全研究成果集」として公表される予定である.

6.新発田市櫛形山脈山麓における生態影響解明調査

 森林生態系への酸性雨の影響を明らかにするためには,森林生態系全体を対象に,観測データを集積し,検討する必要がある.日本環境衛生センター酸性雨研究センターでは,平成13年度より,新発田市櫛形山脈山麓の集水域において,降水量(インプット),渓流水流量(アウトプット)の年間を通じた継続調査により,水収支を明確化するとともに,樹幹流・林内雨・林外雨・渓流水のpH,EC,イオン成分を測定することによって,本集水域における物質収支を推定することを目的とした調査を実施している.当所は,日本環境衛生センター酸性雨研究センターとの共同研究として,平成18年度から林外雨の調査地点と同一地点において,パッシブサンプラーを用いたガス状物質SO2,NO2,NOx,NH3,O3の観測を行っている.
 平成21年度は,ガス状物質の観測を継続すると共に,平成19年1月から12月の各物質の乾性沈着量を推計した.今後,本集水域における総沈着量中の乾性沈着の寄与割合を求める予定である.

7.農業活動に由来するアンモニアの発生実態と生態系影響のインパクト解析

 本研究は,日本学術振興会科学研究費補助金による農業・食品産業技術総合研究機構,北海道大学及び農業環境技術研究所の共同研究として,平成19年度から平成21年度に実施された.当所は,4つの地方自治体環境研究所(北海道,宮城県,千葉県,兵庫県)と共に,協力機関として本研究に参画した.
 研究目的は,大気中の主要成分であり,硫黄酸化物の粒子化や窒素飽和による生態影響に深く寄与するものの,排出量や大気中の形態が十分に把握されていないアンモニアについて,発生から影響までの諸過程を明らかにすることにある.当所は,アンモニアガス(NH3)とアンモニウム塩(NH4+)の大気濃度及び沈着量の広域分布把握を他の地方環境研究所と共に担当し,平成19年7月から平成21年8月までの間,県内5地点においてパッシブサンプラー(PS)を用いたアンモニアガスの観測と,1地点においてフィルターパック(FP)法を用いたアンモニアガスとアンモニウム塩の観測を行った.
 PS法による大気中NH3濃度の2年間を通じた地点別の中央値は0.61(笠堀)~2.7ppbv(次第浜)の範囲にあり,いずれの地点も夏季に高く冬季に低い季節変動を示した.新潟曽和で実施したPS法とFP法の並行測定結果では,NH3濃度が夏高冬低の季節変動を示すのに対し,NH4+濃度には明確な季節変動がみられなかった.また,NH4+は非海塩性硫酸イオンのほぼ2倍のモル濃度を示すことから,これらは主に硫酸アンモニウムとして存在しているものと推測された.

8.光化学オキシダントと粒子状物質等の汚染特性解明に関する研究

 本研究は,国立環境研究所と地方環境研究所のC型共同研究として平成19年度から21年度に実施されたもので,参加各自治体の大気環境時間値データの整備を行い,相互比較検討を行うことで地域的な汚染の特徴を明らかにし,光化学オキシダントと粒子状物質等の汚染特性や発生原因を解明することを目的としている.当所はデータ解析を担当し,本県における光化学オキシダント濃度と浮遊粒子状物質濃度の経年変化を把握し,高濃度エピソード時の他地域から本県への移流の可能性を見いだした.
 その成果は,国立環境研究所研究報告第203号(平成22年1月)として公表された.

9.残留性化学物質データの組織化と発生源解析

 本共同研究は,統計数理研究所が中心となり,国立環境研究所,農業環境技術研究所,製品評価技術基盤機構,北海道環境科学研究センター,宮城県保健環境センター,茨城県霞ヶ浦環境科学センター,千葉県環境研究センター,長野県衛生公害研究所,東京都環境科学研究所,岐阜県保健環境研究所,広島県立総合技術研究所,北九州市立大学大学院及び埼玉県環境科学国際センターとダイオキシン類などの残留性化学物質の統計解析について情報交換を行っているものである.当所は,演題として「ダイオキシン類前処理における腐植物質の影響」を共同研究の会合で発表した.