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新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の【保環研】 調査研究 《経常研究》
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【保環研】 調査研究 《経常研究》

2011年03月22日

経常研究の概要

◆経常研究とは◆
 保健・環境行政の技術的水準の維持向上を図るための研究

◆平成21年度に行った経常研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
   1.地理情報システムを利用した環境・保健情報解析システムの整備に関する調査研究
   2.地下水中のヒ素と帯水層の地質等に関する調査研究
   3.レジオネラ属菌分離培養方法の検討と遺伝子解析
   4.食中毒発生時における病原大腸菌検査の迅速化に関する検討
   5.タミフル耐性インフルエンザウイルスの検出に関する調査研究
   6.食品中残留農薬測定におけるLC/MS分析方法の基礎検討
   7.腐植物質存在下のダイオキシン類の挙動に関する研究
   8.異常水質事案等の原因物質のスクリーニングに関する検討  

1.地理情報システムを利用した環境・保健情報解析システムの整備に関する調査研究 【情報調査科】

新潟県環境情報マップの画像

 地理情報システム(GIS)は,環境情報の解析分野においても有効性が高いとされ利用が進みつつある.
 本研究では,環境・保健行政の担当者が県内における環境や保健に関する地理情報を把握し,行政課題の解決に役立てるため,地理情報システムを用いた環境・保健情報解析システムを整備することを目的としている.
 平成21年度は,各種の環境情報を一元管理する環境情報マップの作成に着手した.また,保健情報については,インフルエンザに重点を置き,週報や学級閉鎖情報のGIS化に取組んだ.

新潟県環境情報マップ

2.地下水中のヒ素と帯水層の地質等に関する調査研究 【情報調査科】

新潟県内の地下水中のヒ素濃度の分布状況の地図

 ヒ素は,地下水の水質監視調査において,環境基準を超過する割合が高い有害物質である.本県は,全国的にみても,ヒ素による地下水汚染が多く,その原因は,ほとんどが自然由来と考えられている.
 ヒ素濃度と帯水層の地質や地層の関係については,既存の地下水調査の資料をGISにより地図化したところ,地下水環境基準を超過するヒ素は,信濃川下流の沖積平野等に多く分布していた.
 県内の沖積平野では,還元状態にある地下の帯水層において鉄が溶解しやすくなり,鉄化合物に吸着していたヒ素が地下水に溶出すると推定される.
 また,県内では帯水層の深度と地下水のヒ素濃度に明確な関連はなかった.

新潟県内の地下水中のヒ素濃度の分布状況

3.レジオネラ属菌分離培養方法の検討と遺伝子解析 【細菌科】

 レジオネラ症の感染源が特定される事例は集団発生例以外では少ないが,感染源を特定するためにはレジオネラ属菌を分離して遺伝子解析を行うことが必須である.
 平成21年度は,県内ホテルの冷却塔水から分離されたLegionella pneumophila 血清群1について,パルスフィールドゲル電気泳動法を用いて遺伝子解析を実施した.その結果,1検体から複数の遺伝子型の菌が分離された例や翌年も同じ遺伝子型の菌が分離された例があった.

4.食中毒発生時における病原大腸菌検査の迅速化に関する検討 【細菌科】

 現行の病原大腸菌スクリーニング検査は検体の分離培養平板から大腸菌を同定後に血清型別を実施している.その後,スクリーニング検査で陽性となった菌株についてPCR法による病原因子確認検査を行っている.このため,同定・血清型別に多大な労力と時間を必要とするばかりか未知の血清型については対応できない可能性がある.食中毒発生時には迅速且つ正確な検査情報が求められるため,スクリーニング検査にPCR法を利用することにより病原大腸菌検索の迅速化・効率化について検討する.
平成21年度は糞便の短時間増菌培養液についてPCR法による病原因子の検索方法を検討した.

5.タミフル耐性インフルエンザウイルスの検出に関する調査研究 【ウイルス科】

 現在,国内流行のインフルエンザ治療にはオセルタミビル製剤(商品名タミフル,以下「タミフル」)が主に使用されているが,2007年11月以降,欧米各国ではタミフル耐性ウイルスがノルウェーの67%を筆頭に20%以上の率で検出されている.一方,わが国では鳥インフルエンザ(H5N1)に対する治療薬としてタミフルの備蓄を進めていた.このような状況が展開されるなかで,早急にタミフル耐性検査を可能にし,県内でのタミフル耐性株の動向を探り,インフルエンザ防疫対策に必要なデータを蓄積する必要性があり,本研究を開始した.
 これまで季節性インフルエンザのAソ連型について,アミノ酸遺伝子変異H275Yを調査してきたが,平成21年度は新型インフルエンザA/H1pdmが流行したため,対象ウイルスを新型インフルエンザA/H1pdmとしてタミフル耐性遺伝子検出の調査を行った.

6.食品中残留農薬測定におけるLC/MS分析方法の基礎検討 【生活衛生科】

サンプルをホモジナイズしている写真

平成18年5月施行のポジティブリスト制により,広範囲の農薬に対する監視が必要となったため,これまで検討を行ってきたGC/MS一斉分析法に加えて,LC/MS(/MS)による一斉分析法の検討を行った.
 平成21年度は,農薬及びその代謝物110成分について,添加回収試験による分析法の評価を行った.その結果,91成分についておおむね良好に測定可能であった.さらに,良好な結果が得られなかった21成分について原因の解明を試みた結果,一部の農薬については,溶媒中での分解が考えられた.

サンプルをホモジナイズしているところ

7.腐植物質存在下のダイオキシン類の挙動に関する研究 【大気科学科】

 水試料中のダイオキシン類の測定方法については,JIS K 0132に規定されている固相抽出法を当所では採用している.
 この固相抽出法において工場排水のダイオキシン類の一部が固相に吸着されない事例があった.また,比較的清浄と考えられる地下水においても同様の事例が報告されている.この原因の一つとして,試料に含まれる腐植物質の影響によりダイオキシン類が固相に吸着されず通過することが考えられた.
 そこで,本研究では腐植物質存在下におけるダイオキシン類の挙動を調べ,抽出に固相を使用する際の条件を検討することを目的として平成20年度に研究を開始した.
 平成20年度は,水溶液中のダイオキシン類の一部が,市販の腐植物質が存在するアルカリ性溶液において,固相を通過することが確認できた.平成21年度は,一般環境水(河川水及び地下水)を酸性条件にするとダイオキシン類が固相に充分吸着することを確認した.

8.異常水質事案等の原因物質のスクリーニングに関する検討 【水質科学科】

 本研究は,異常水質等の原因物質となることの多い油類や農薬などを対象として,スクリーニングに関する検討を行い,緊急時における迅速対応に資することを目的としている.
 平成21年度は,GC/MSでの一斉分析が困難である農薬類について,LC/MSを用いた分析法を検討した.その結果,スチレンジビニルベンゼン系の固相カートリッジを用いることで,22種の農薬類について良好な回収率が得られた.