共同研究の概要
◆平成20年度に他の機関と共同で行った研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
1.日常食品中の汚染物質摂取量調査
2.食品中に含まれる微量農薬の分析法と精度管理体制の構築に関する研究
3.新潟県におけるオゾン高濃度現象の解明調査
4.新発田市櫛形山脈山麓における生態影響解明調査
5.農業活動に由来するアンモニアの発生実態と生態系影響のインパクト解析
6.残留性化学物質データの組織化と発生源解析
7.TRC法を用いたノロウイルスRNA検査に関する研究
1.日常食品中の汚染物質摂取量調査
国立医薬品食品衛生研究所,地方衛生研究所等8機関と共同で食品等由来によるPCB,農薬及び重金属などの汚染物質の摂取量調査を行った.
調査は,マーケット・バスケット方式により食品(13の群)と飲料水について107物質を測定した.その結果,下表の摂取量であった.
| 日常食品中の汚染物摂取量 (μg/人/日) |
| 物質名 |
摂取量 |
物質名 |
摂取量 |
| PCB |
0.34 |
臭素 |
7420 |
| 総HCH |
0.03 |
ヒ素 |
24.1 |
| 総DDT |
0.29 |
水銀 |
3.38 |
| ディルドリン |
0.25 |
鉛 |
26.6 |
| クロルデン類 |
0.07 |
カドミウム |
12.3 |
| ヘプタクロルエポキシド |
0.01 |
マンガン |
3130 |
| クロルピリホス |
0.02 |
銅 |
1500 |
| フェニトロチオン |
0.03 |
亜鉛 |
6940 |
| フェンチオン |
0.06 |
|
|
2.食品中に含まれる微量農薬の分析法と精度管理体制の構築に関する研究
厚生労働科学研究「検査機関の信頼性確保に関する研究」のうち標記研究について,大阪府立公衆衛生研究所を中心に7地方衛生研究所(当所を除く.)と共同で平成20年度から3年間,内部及び外部精度評価により実施することになった.
平成20年度は, レトルトカレーに添加されたメタミドホス等有機リン系11農薬及びフェノブカルブ等カーバメート系4農薬計15農薬についてGC/MS及びLC/MS/MSで測定した. また, 信頼性確保のための検証として, GC/MS及びLC/MS/MSともに各機関共通の標準液を使用し, さらにGC/MS性能チェック用標準液によるGC/MS性能テストを実施した.
3.新潟県におけるオゾン高濃度現象の解明調査
新潟県内でオゾンが高濃度化している原因を解明するため,平成19年度から三カ年計画で,国立環境研究所,農業環境技術研究所,新潟大学及び日本環境衛生センター酸性雨研究センターと共同で標記の公害防止等試験研究費・地域密着型環境研究を実施した.当所は本研究において主にフィールド調査を担当し,平成20年度は県内9地点でオゾン濃度の観測,1地点で非メタン炭化水素濃度及びBe-7濃度の観測を行った.平成20年度の調査研究結果は以下のとおりである.
(1)自動測定器及びパッシブサンプラーを設置して大気常時監視局空白域におけるオゾン濃度を測定した.その結果,佐渡外海府側と,弥彦山など標高の高い地点で高濃度を示した.また,県農業総合研究所圃場でのオゾン濃度を測定した結果,圃場での濃度は,長岡工業高校大気常時監視局での測定結果と同等であることがわかった.
(2)長岡工業高校大気常時監視局のVOCs成分濃度を測定した結果,オゾン高濃度日に,オゾン生成能の高いエチレン,プロピレン濃度の上昇が見られた.
(3)成層圏から降下してくるオゾン濃度を評価するために,成層圏で生成するBe-7の地表濃度を春季に当所敷地内において測定した.その結果,Be-7濃度は,成層圏オゾンの対流圏降下に関して一定の指標性を示すと考えられた.
4.新発田市櫛形山脈山麓における生態影響解明調査
森林生態系への酸性雨の影響を明らかにするためには,森林生態系全体を対象に,観測データを集積し,検討する必要がある.日本環境衛生センター酸性雨研究センターでは,平成13年度より,新発田市櫛形山脈山麓の集水域において,降水量(インプット),渓流水流量(アウトプット)の年間を通じた継続調査により,水収支を明確化するとともに,樹幹流・林内雨・林外雨・渓流水のpH,EC,イオン成分を測定することによって,本集水域における物質収支を推定することを目的とした調査を実施している.当所は,日本環境衛生センター酸性雨研究センターとの共同研究として,平成18年度から林外雨の調査地点と同一地点において,パッシブサンプラーを用いたガス状物質SO2,NO2,NOx,NH3,O3の観測を行っている.
平成20年度の各成分の年平均濃度は,SO2:0.1ppbv,NO2:0.5ppbv,NOx:1.3ppbv,NH3:0.8ppbv,O3:42.0ppbvと,平成19年度の観測値と同等であった.今後,これらの成分の沈着量を算出し,本集水域における総沈着量中の乾性沈着の寄与割合を求める予定である.
5.農業活動に由来するアンモニアの発生実態と生態系影響のインパクト解析
本研究は,日本学術振興会の平成19年度科学研究費補助金によるもので,農業・食品産業技術総合研究機構,北海道大学,農業環境技術研究所の共同研究として実施されている.当所は他の地方環境研究所4機関と共に,協力機関として本研究に参加している.
研究内容は,大気中の主要成分であり,硫黄酸化物の粒子化や窒素飽和による生態影響に深く寄与するものの,排出量や大気中の形態が十分に把握されていないアンモニアについて,発生から影響まで,各々の専門家で分担研究するというものである.当所は,アンモニアガスとアンモニウム塩の大気濃度及び沈着量の広域分布把握を他の地方環境研究所と共に担当し,通年で,県内5地点においてパッシブサンプラーを用いたアンモニアガスの観測と,1地点においてフィルターパック法を用いたアンモニアガスとアンモニウム塩の観測を行った.
新潟県5地点のアンモニアガス濃度は,0.1ppbv未満から3.1ppbvの範囲にあり,全平均値は0.8ppbv,属性別平均値は,農地(3地点)が1.0ppbv,森林(2地点)が0.5ppbvであった.また,全アンモニウム化合物に占めるアンモニアガスの割合は,28±11%で,季節変動に一定の傾向は見られなかった.
6.残留性化学物質データの組織化と発生源解析
本共同研究は,統計数理研究所が中心となり,国立環境研究所,農業環境技術研究所,環境調査研修所,北海道環境科学研究センター,宮城県保健環境センター,茨城県霞ヶ浦環境科学センター,千葉県環境研究センター,東京都環境科学研究所,長野県環境保全研究所,岐阜県保健環境研究所,広島県立総合技術研究所保健環境センター,北九州市立大学大学院及び埼玉県環境科学国際センターとダイオキシン類などの残留性化学物質の統計解析について情報交換を行っているものである.当所は,演題として「廃オイル中ダイオキシン類の分析について」を共同研究の会合で発表した.
7.TRC法を用いたノロウイルスRNA検査に関する研究
ノロウイルス検査の迅速化を目指し,大学,企業と共同で検査試薬を改良し有効性を検討した.従来の遺伝子型別で行ってきたTRC2試薬法が1試薬法で可能になり,検出感度の向上も確認した.
感染症事例での検査結果もPCR法との差はなかった,内容は第56回日本ウイルス学会で発表した.