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新潟県ホーム の中の健康・医療・衛生の中の【保環研】 平成19年度に行った経常研究
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【保環研】 平成19年度に行った経常研究

2009年01月21日

平成19年度の経常研究の概要

◆経常研究とは◆
 保健・環境行政の技術的水準の維持向上を図るための研究

◆平成19年度に行った経常研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載をしました。◆
   1.保健情報を用いた地域診断支援に関する調査研究
   2.温室効果ガス排出量算定手法に関する調査研究
   3.地理情報システムを利用した環境情報解析システムの整備に関する調査研究
   4.検食からの効果的な食中毒菌検出方法の検討
   5.E型肝炎ウイルスの感染場所の解明
   6.食品中残留農薬測定におけるLC/MS分析方法の基礎検討
   7.溶出試験による医療用後発医薬品の品質評価
   8.環境中ダイオキシンの発生源解明に関する調査研究
   9.大気環境中における有害大気汚染物質等の挙動に関する調査研究
   10.異常水質事案等の原因物質のスクリーニングに関する検討
   11.ホウ素の排水処理技術開発のための基礎的検討
   12.低周波音の特性把握に関する調査研究

1.保健情報を用いた地域診断支援に関する調査研究 【情報調査科】

 位置を持ったデータを管理加工し,視覚的に表示し分析を可能とする技術である地理情報システム(GIS)は,都市計画,資源や施設管理,防災,エリアマーケティング等,様々な分野に利用が拡大している.
本研究では,GISソフトArcGIS(ArcView)を用い,種々の保健医療に関する情報を表示・解析するために必要なデータや地形図等のデータを収集・整備するとともに,地域特性把握へのGISの有効性について検討している.
平成19年度は,緯度・経度から決定した新潟県内の小学校及び中学校の位置情報に,平成15年~平成17年のインフルエンザ様疾患による週毎の学級閉鎖等措置状況を入力し地理的解析を行うとともに,保健所管内別患者報告数との比較を行った.この結果GISを用いた視覚化により,インフルエンザ様疾患の流行の拡大の地理的な特徴が明らかになるとともに,学級閉鎖等措置状況と保健所別患者数がよく一致することがわかった.

2.温室効果ガス排出量算定手法に関する調査研究 【情報調査科】

 京都議定書発効を受け,国は「京都議定書目標達成計画」を策定するとともに,地球温暖化対策推進法を改正し,一定規模以上の事業者(特定排出者)は,平成18年度から温室効果ガス排出量の算定・報告が義務づけられた.また,主たる排出データの基礎となる,電気事業者別排出係数も公表されることとなった.
 国は「地球温暖化対策推進計画策定ガイドライン」(平成5年・15年改訂・19年改訂)により算定方法の考え方を示しているが,各県で利用できる統計情報データはまちまちであり,具体的な算定作業を行うためには各県の実情にあった算定の実施手順書(新潟県版温室効果ガス算定実施手順書)を整備し,組織として誰でも理解し,算定作業ができるような体制を整備する必要がある.
 そこで平成19年度は,新潟県の温室効果ガス排出量算定に必要な統計情報(図書,インターネット上にある統計情報など)の所在等を調査し,排出量の算定を行った.

3.地理情報システムを利用した環境情報解析システムの整備に関する調査研究 【情報調査科】

 地理情報システム(GIS)は,環境情報の解析分野においても有効性が高いとされ利用が進みつつある.
 本研究では,環境行政の担当者が県内における環境や公害に関する地理情報を把握し,行政課題の解決に役立てるため,地理情報システムを用いた環境情報解析システムを整備することを目的としている.
 平成19年度は,基本地図情報として,基図(河川・道路等),地形・地盤,地質・土壌等のデータを整備した.

4.検食からの効果的な食中毒菌検出方法の検討 【細菌科】

 食中毒の原因調査に備えて, 大規模調理施設においては, 原材料と調理済み食品を冷凍保存する検食制度が義務づけられているが, 検食から原因菌が検出され, 細菌学的に原因食品が確定される食中毒事例は少ない. 一般に, 細菌は冷凍により損傷を受けることから, 冷凍保存中の損傷や菌数の減少が, 原因菌の検出を困難にしている可能性がある. また, 通常用いている検査方法が, 損傷を受けた菌の検出にも適しているかは明らかではない.
一方, 原因菌の特性が, 検出の妨げとなっている可能性もある. 食中毒菌のなかでも, カンピロバクター, 腸管出血性大腸菌は発症菌数が少ないことが知られており, これらを起因とする食中毒では, 食品の汚染レベルは低く, 検出が難しい場合があると想定される.
そこで両菌種を対象とし,検食を想定した食品からの効果的な検出方法を検討することとした. 平成19年度は腸管出血性大腸菌について,凍結保存による経時的な菌数変動を調べ, 凍結融解後の検体を用いて増菌培地, 培養温度別の検出率を比較した. また免疫磁気ビーズと増菌液の組み合わせについて検討を行った. 平成20年度はカンピロバクターについて検討する予定である.

5.E型肝炎ウイルスの感染場所の解明 【ウイルス科】

 と畜場出荷豚で陽性豚が検出された農場で,豚の糞便中のE型肝炎ウイルス(「HEV」,以下同様)を月齢別に調べた.農場により,陽性数は異なるが,3~6か月齢の育成段階の豚が陽性となり,育成舎で感染が連鎖・継続していると考えられた.また,農場の衛生管理状態によってHEVの検出状況が異なることが推測された.
 種豚を供給している農場と導入している農場のHEVのORF1領域の遺伝子を比較したところ一致し,豚の移動に伴い,HEVが拡散していると疑われた.
 検出されたHEVは全て遺伝子型Ⅲに属し,日本に土着のグループに属した.
 豚の肝臓によるHEV感染事例があることから,対策として,HEVの農場での清浄化,特に,種豚や子豚の生産農場における清浄化の必要性と,豚の出荷・導入時の検疫が必要であると考えられた.

6.食品中残留農薬測定におけるLC/MS分析方法の基礎検討 【生活衛生科】

 平成18年5月施行のポジティブリスト制により,広範囲の農薬に対する監視が必要となったため,これまで検討を行ってきたGC/MS一斉分析方法に加えて,LC/MS(/MS)による一斉分析法の検討を行った.
 平成19年度は,農薬及びその代謝産物108成分について,18年度より作物数を増やして作物成分由来のマトリックスが分析データに及ぼす影響を調査した他,LC/MS/MSによる連続分析時の安定性について検討を行った.また,添加回収試験による分析法の評価を行った.
 その結果,一部に測定値が安定しない農薬成分があったが,108成分中88成分についてはおおむね良好に測定可能であった.

7.溶出試験による医療用後発医薬品の品質評価 【生活衛生科】

 医療用の先発医薬品と後発医薬品について,溶出試験を行い品質の評価を行うため,平成19年度は,塩酸ニカルジピンについて品質評価を行った. 品質評価の方法は,溶出開始から溶出率が5%となるまでの時間であるラグ時間の補正を行い,ガイドラインに準じて4つの評価項目を定め,それらの評価項目に配点し,各評価項目の合計点数から先発医薬品と品質が同等と認められるか認められないかで評価を行った.その結果, 塩酸ニカルジピンは後発医薬品13検体中先発医薬品と品質が同等と認められたものは6検体で,認められなかったものは7検体であった.

8.環境中ダイオキシンの発生源解明に関する調査研究 【大気科学科】

 本県においては,特に河川環境においてダイオキシン類による基準超過事例が確認されているが,複数の汚染源が複雑に影響しているため,原因を解明することが困難であった.その汚染原因を解明するためには,想定される発生源からの寄与率を統計的手法によって算出する手法の確立と環境及び発生源情報の収集,整理が重要である.
 平成19年度は,18年度に構築したデータベースに新たなデータを入力するためのマニュアルを作成し,18年度のデータを追加入力した.また,平成15年度に採取した佐渡市真野湾底質コアサンプル中のダイオキシン類について,発生源解析を実施した.その結果については,第17回環境化学討論会で発表した.

9.大気環境中における有害大気汚染物質等の挙動に関する調査研究 【大気科学科】

 大気中の有害大気汚染物質については,環境省が示した優先取り組み物質を中心とした有害大気汚染物質モニタリングが実施されているが,それ以外の化学物質の大気環境中における汚染状況はほとんど把握されていない.本調査研究は有害大気汚染物質による汚染の実態把握を目的として実施した.3カ年で得られた成果は以下のとおり.
 (1)有害大気汚染物質モニタリングを実施している調査地点及びその周辺で,平成16~18年度のVOCs40物質(優先取り組み物質9物質を含む)の基礎データを集積した.
 (2)大気中の全PAHs濃度は都市部では春期に低く,山間部では冬季に高い傾向が見られた.また,降水中の全PAHs濃度及び降下量は山間部において冬季に増加する傾向が見られた(新潟大学との共同研究として実施).
 (3)非メタン炭化水素類について,光化学オキシダントの原因となる物質のうち58物質について分析方法を検討した.その結果,キャニスター捕集した試料を,自動濃縮装置で一定量濃縮した後,GC-FID及びGC/MSでそれぞれ分析することにより,環境大気中の濃度レベルの分析が可能となった.

10.異常水質事案等の原因物質のスクリーニングに関する検討 【水質科学科】

 本研究は,異常水質等の原因物質となることの多い油類や農薬などを対象として,スクリーニングに関する検討を行い,緊急時における迅速対応に資することを目的としている.
 平成19年度は,GC/MSでの分析が可能な70種の農薬類について,一斉スクリーニングのための測定条件の検討を行った.

11.ホウ素の排水処理技術開発のための基礎的検討 【環境科学科】

 新たに排水基準が設定されたホウ素の処理技術に関する情報を収集するとともに,低濃度域であっても総量として環境負荷が懸念される排水中のホウ素の低減方法として,水耕栽培方式で生育させた植物を利用する方法を検討した.本年度は,水耕栽培に適し,ホウ素に対する抵抗性が強く,かつホウ素の除去効率の高い植物の選定を行った.
 その結果,オランダガラシやクールミント,ナスタチュウム等がホウ素に対する抵抗性も強く,比較的効率良く培養液(排水)中のホウ素を吸収しており,植物を利用した排水中のホウ素低減対策に利用可能と考えられた.

12.低周波音の特性把握に関する調査研究 【環境科学科】

 低周波音は,発生状況が個々のケースにより異なり,人間への影響に関する個人差が大きく,更に対策も難しい場合が多い. 
 このため,発生源となり得る機械や構造物から発生する低周波音について,できる限り多くのデータを収集・解析及び蓄積することにより,その発生要因及び周波数特性等を把握し,低周波音問題の解決に資することとした.
 平成19年度は,当所の冷温水発生装置等について測定を行った.今後測定結果の解析を行う.