特定研究の概要
◆特定研究とは◆
保健・環境行政にとって解決が急がれる課題の対応に必要な科学的・技術的情報を提供するための研究
◆平成20年度に行った特定研究は下記のとおりです。表題一覧の後に概要を記載しました。◆
1.ノロウイルス汚染食品の検査限界の確認に関する調査研究
2.大気中酸化性物質のバックグラウンド濃度変動把握とその影響評価に関する調査研究
1.ノロウイルス汚染食品の検査限界の確認に関する調査研究 【ウイルス科】
食中毒の検査は病因物質の特定と汚染経路の解明にあるが,ノロウイルスは培養検査ができないため,付着量が少ない食品検体からの検出例は少なく,汚染経路が解明されることは少ない.疫学調査によって疑われた原因食品からウイルスが検出できないことがあるが,評価の際に,食品ごとの添加回収率が把握されていないため,推定された原因食品からウイルスが検出されない場合,統計解析で原因食品と疑われても,最終的な判断に迷う事態も生じている.
そこで,疫学調査成績に対照できる科学的判断資料を得るため,汚染された食品別にどの程度添加回収量が可能か検討することとした.特に,野菜や刺身等の表面汚染が主体の食品と和え物などの混合汚染された食品に分けて検討する.
平成20年度は,レタスを使用して表面汚染について添加回収試験を実施した.レタス10gに1.7×104個のノロウイルスを添加したところ,回収率は4×102個,2%程度であった.21年度は,抽出する緩衝液の種類,食品の種類を変えて検討する予定である.
2.大気中酸化性物質のバックグラウンド濃度変動把握とその影響評価に関する調査研究 【大気科学科】
大気中の窒素酸化物や炭化水素の濃度が低く,光化学反応による生成と消滅の寄与が小さいと考えられる遠隔地域において,光化学オキシダントのバックグラウンド濃度を測定し,その濃度レベルと変動幅を把握するとともに,濃度変動の要因を検討すること,また,こうした遠隔地域における森林や穀物への影響評価に資することを目的に,平成19年度から調査研究を実施している.
(1)(有)小川商会製パッシブサンプラーを用いて,八海山(南魚沼市)の標高の異なる4地点(標高242m~1150m)において,4月から11月までオゾン月平均濃度の測定を実施した.その結果,各月ともオゾン濃度は標高に応じて高い値を示す傾向が認められた.標高をx,オゾン濃度をyとして求めた傾きは0.018(6月)~0.027(11月)の範囲であり,季節による傾きの違いは明らかでなかった.一方,同様に求めたy切片(ppbv)は春 季(4,5月)で44.0~44.9,夏季(6~8月)で20.3~33.1,秋季(9~11月)で17.0~21.0と,春季に高く,秋季に低い傾向が認められた.各月の平均濃度を,平成19年度調査で得られた5月から8月までの測定結果と比較すると,7月は平成20年度の方が数ppbv高いものの,他月はほぼ同等の値であった.
(2)前項と同一の手法により,佐渡関岬,真野,赤泊(以上佐渡市),新潟巻(新潟市)及び笠堀(三条市)の5地点において通年でオゾン濃度を観測した.また,相川(佐渡市)において4月から11月までオゾン濃度を観測した.いずれの観測地点においても,オゾン月平均濃度は3 ~5月に高く,7,8月に低い季節変動を示した.また,年間を通じて,佐渡関岬では観測地点のうち,概ね最高濃度で推移し,赤泊では最低濃度で推移した.
平成9年度~19年度に行った特定研究