県内のおもな漁港で働く漁師さんを紹介するこのコーナー。
第2回目は 新潟県の最北部に位置する寝屋漁港で働く「小林一郎(こばやしいちろう)」さんです。
小林さんがおじいさんに連れられて漁に出たのは小学生の時だそうです。その頃はまだ手漕の船で、サンマの切り身を餌に延縄でマダイやカナガシラを漁獲していました。また、地元の沖合に設置された定置網にも乗り、中学校を卒業する頃にはすっかり漁業技術を身につけ、秋田県に行き、一本釣りやヒラメの引き釣等の技術を教えるまでになったとのことです。
中学校を卒業すると、福島県の小名浜漁港を基地とした漁船に乗り込み、北洋のサケ、マス漁や東シナ海のサバの一本釣りなど世界中の海で活躍されました。カムチャッカ半島やアラスカ方面に行った時はロシア付近まで航海し怖い思いまでしたとのことです。この頃の給料は今では想像も付かないほど良かったそうですが、使う方も豪快で、「何も残らなかったよ」と笑いとばします。その後小林さんは35歳位で地元に戻り、一本釣りや延縄漁を行いました。自ら漁業技術研究会を作り、仲間の漁師さんと漁労技術を磨きました。
直売所「新鮮家」の写真
そんな小林さんに転機が訪れました。漁協の役員会の中で、「自分たちで取った魚を市場に出すだけでは魚価は揚がらない。自分たちで売ることも考えないと」との意見が出て魚の直売所の開設を決めた時です。小林さんたちは秋田県、山形県の先進地を視察したり準備を進め、平成14年に寝屋漁港内に漁協直売所「新鮮家」を開設しました。小林さんは開設以来担当役員として直売所の運営に全力で取り組んで来ました。そのおかげで売り上げも順調に伸び、県内外のリピーターが増えています。お客さんから「おいしかったよ」と言われるのが一番うれしいとのこと。
第28回全国豊かな海づくり大会「漁業功績団体」の表彰
この他に小林さんは平成8年に県知事から指導漁業士に認定され、地元の小学生を対象に水産教室を実施したり、若手漁業者の指導に当たってきました。また、栽培漁業にも力を入れ、ヒラメの中間育成施設で放流種苗(稚魚)の飼育や、寝屋漁港に水揚げされる放流ヒラメの割合を調査し、その功績で第28回全国豊かな海づくり大会において水産庁長官賞を受賞しました。
このように何事も先を見通して全力で取り組む小林さん。74歳になった今でもますます元気です。小林さんは毎日、寝屋漁港の直売所で働いていますので、ぜひ訪ねて、昔の漁の話や、おいしい魚の話を聞いてみませんか。
次回は鷲崎漁港でマダラ漁に取り組む森川敏幸さんです