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技術委員会電子会議室(5号機起動試験の評価結果について)

印刷 文字を大きくして印刷 ページ番号:0042988 更新日:2011年2月7日更新

委員意見等の内容に関するご質問・お問い合わせは、原子力安全対策課までお願いします。
 Tel:025-282-1696
 Fax:025-285-2975
 E-mail:ngt130030@pref.niigata.lg.jp


議題

 起動試験中の5号機について、東京電力は、最終的に試験結果に問題がないことを確認し、今後継続的にプラントが運転可能であると評価しました。
 委員の皆さまは、以下の資料をご確認いただき、ご意見等がありましたらお寄せ願います。

鈴木賢治座長(新潟大学人文社会・教育科学系教授)コメント

 5号機起動試験の実施状況については、「設備健全性、耐震安全性に関する小委員会」において、各出力段階の運転状態や試験中に発生した不適合等が詳細に議論され、技術委員会としては、最終の評価結果を電子会議室で確認してきたところであるが、いずれにおいても安全上の問題を指摘する意見はなかったことから、技術委員会座長として、5号機起動試験の評価結果を以下のとおり総括する。

  1. 起動試験の結果について
    原子炉起動後の点検や試験の結果及び各出力段階における主要パラメータの測定値は、判定基準や地震前データとの比較において、安全上特に問題とすべき点はなく、地震による設備への影響は認められない。
  2. 起動試験中に発生した不適合について
    今回の起動試験では62件の不適合が確認されているが、いずれも通常の保全作業において確認されるような軽微な事象であり、プラントの安全性に影響を及ぼすものではないと考える。
    一方、点検周期を超過した機器が確認された問題について、5号機においても未点検の機器があったものの、いずれもこの間に点検を完了しており、現時点において設備の安全上の観点からは問題はないと考えられる。技術委員会としては、品質管理上、重要な事項であり、今後、他号機を含む最終的な調査結果が出た段階で、原因と対策を改めて確認することとしたい。

 以上、5号機については、今後、営業運転に移行する上で特段問題とすべき点はないものと考える。
 東京電力には、引き続き、品質保証活動を通じて不適合の管理を徹底し、安全・安心を第一とした慎重な運転・監視を行うよう求めたい。

座長コメントに関する報道資料はこちらをご覧ください

委員意見

委員 ご意見等

香山委員
(1月27日)
本件、問題となる部分はないと判断します。

吉川委員
(1月28日)

質問1-(1)
 柏崎刈羽原子力発電所5号炉の起動試験中の不適合事象62件のグレード(GI~GIII)毎の件数は?

東京電力の回答

先行号機(1,6,7号機)との発生数比較結果を下表に示します。

グレード 7号機 6号機
As 0 0
A 2 0
B 2 1
C 11 12
D 60 28
総計 75 41
グレード 1号機 5号機
共用以外 共用 共用以外 共用
GI 0 0 0 0
GII 16 1 9 0
GIII 48 18 42 11
総計 64 19 51 11

※平成22年4月1日よりグレードを見直しており、旧グレードのC以上はGII以上に相当

質問1-(2)
 先行の1、6、7号と比較して如何ですか? また 特徴は?
 先行炉に比較したときの傾向、特徴、先行炉復旧の経験の反映、今後の炉への反映事項の摘出といった、全体をみた分析と教訓の摘出といったことも大事なように思います。

東京電力の回答

  • 今回起動において、原子炉安全上重要な設備・機能に関する不適合は発生していません。
  • 先行号機で発生した不適合に鑑み、起動前に予め水平展開を図ることで再発防止に努めており、結果として以下のようなプラント運転へ直接影響のある不適合の発生を防止できました。起動試験日数あたりの不適合発生件数は先行号機とくらべ一番少なくなっています。
    • 1号機 タービン駆動原子炉給水ポンプ 吐出弁のシートパス
    • 1号機 原子炉給水ポンプ バイパス弁のシートパス
    • 1号機及び7号機における原子炉隔離時冷却系に関する不適合
  • その他、シートリークや油にじみ等の整備不良に関する不適合は、1号機「17件」に対し5号機「6件」と大幅に減少しました。
  • なお、GIIグレード以上の不適合発生数9件の内、点検長期計画に関する不適合が5件であり、起動における設備不適合とは異なるものであり、他の先行号機に比べ実質的な高グレード不適合は極めて少なかったといえます。
  • 以上より、先行号機の実績を踏まえた改善が確実に展開されているものと評価しています。

質問2-(1)
 長期点検計画表に記載の点検事項の実施漏れがいくつか記載してありますが、これは5号炉にのみ見られた不適合事象でしょうか?

東京電力の回答
 現在、全号機について調査を実施しているところですが、調査の進んでいるいくつかの号機(1、5、6号機)で点検周期を越えている機器が確認されております。
 なお、全号機の調査が終了するのは2月末の予定です。

質問2-(2)
 これの”根本原因”は、中国電力のように点検計画表作成部署と実際の点検部署との意思疎通の不備といったことでしょうか?
 長期点検計画表自体が無理があるのか、仕事量が多すぎ間引いたのか、単に現場のし忘れなのでしょうか?

東京電力の回答
 調査結果がまとまるのは2月末の予定ですが、これまでに調査の終了した5号機を対象に原因分析を実施した結果では、保守管理の仕組みそのものに重大な欠陥があるというものではなく、主として運用上の手続きや確認行為などの一部のプロセスが不十分なために発生したものと考えており、共通的な問題点としては、以下の3点があげられています。

  • 計画作成、発注、点検実績の長期計画票への反映などのプロセスにおけるチェックが不足していた
  • 計画変更に関する技術的検討と記録が不足していた
  • 膨大な数の機器の点検周期の管理において人的チェックのみでは限界があった

なお、当発電所においては、点検計画表の管理は実際に点検を実施する部署が一元的に管理しており、ご指摘にあるような組織的な問題はないものと考えております。

1月28日追加資料

1月28日の吉川委員の質問2に関して、東京電力から追加の資料が提供されましたので、あわせてご確認ください。

【参考】点検計画に関する調査状況について(中間報告)(平成23年1月20日)[PDFファイル/219KB]

委員 ご意見等
吉川委員
(1月29日)

1月28日の追加資料に関して、東京電力は中長期的な対策として、システム化により再発防止を図るとしていますが、具体的にはどのような対策でしょうか?

東京電力の回答
 質問2-(2)でも述べましたように、点検漏れが発生したのは、保守管理の仕組みそのものに重大な欠陥があるというものではなく、主として運用上の手続きや確認行為などの一部のプロセスが不十分なために発生したものであることがわかっています。
 このため、システム化にあたっては、膨大な数の機器が長期計画表に基づき確実に点検されるよう、長期計画表をシステムに取込み

  • 長期計画表と違った点検を計画すると警報を発信する
  • 定期検査時の点検の発注リストを長期計画表に基づき自動的に作成する
  • 定検実施後に点検実績リストをシステムに入力することにより、計画と実績の差異をシステムが自動判定する
等の機能を計画しております。

斉藤委員
(2月1日)
 プラント全体の機能試験の結果、プラントの安定運転に影響を及ぼすような事象はなく、継続して運転をすることに問題ないものと判断します。

吉川委員
(2月2日)

コメント1
(1)1月29日の質問に対する回答について
 東京電力は、『点検漏れが発生したのは、保守管理の仕組みそのものに重大な欠陥があるというものではなく、主として運用上の手続きや確認行為などの一部のプロセスが不十分なために発生したものであることがわかっています』と回答していますが、”点検漏れによって、結果として重大なトラブルが発生したならば、保守管理の仕組みそのものに重大な欠陥があったことになる”ので、文章としては、”発電所における多数の点検漏れは、保守管理の仕組みのうち、主として運用上の手続きや確認行為などの一部のプロセスが不十分なために発生したものでした”という表現が妥当と思われます。

(2)1月29日の質問に対する回答について
東京電力は、『システム化にあたっては、膨大な数の機器が長期計画表に基づき確実に点検されるよう、長期計画表をシステムに取込み』と回答していますが、一般にシステムという言葉は、仕組み、制度、やり方という意味でも用いられますので、システムという用語について明確にしていただきたかったのですが、ここではなんらかの処理ソフトウエアを導入されることを検討されていることと理解しました。特に例示されている

  • 長期計画表と違った点検を計画すると警報を発信する
  • 定期検査時の点検の発注リストを長期計画表に基づき自動的に作成する
  • 定検実施後に点検実績リストをシステムに入力することにより、計画と実績の差異をシステムが自動判定する

については、長期計画表そのものは、定まった形式であることを前提として、それにそって点検計画をたてているかの監視、発注リスト作成の自動化、点検実績リスト入力後の長期計画表との突合せの自動判定といったことをコンピュータ化するということで、それ自体はヒューマンエラー防止上有効であろうと評価されます。
しかし、長期計画表の書式変更、内容変更、さまざまな理由で点検が実施できなかったときの事後対策作成などの”変更管理”を如何に行うか、さらにこのような”システム変更を実際に関与する部署、メンバーに周知する”ことが、保守管理では重要な検討課題と思われます。更なる検討を加えていただければ幸いです。

(3)全般的な内容について
長期点検計画表の実施漏れそのものは、地震後の復旧プラントの運転再開により生じる不適合事象とはいえないが、長期点検計画表に震災を受けたプラントゆえに注意すべき事項が入っていることもあります。いずれにせよ、自らが定めた長期点検計画表をもとに正確に保守点検を進め、実績経験に基づき長期点検計画表を見直し、効果的に改善していくこと(PDCA)は、”リスク情報を活用した保全活動”の重要な要素と考えられます。しかし、ものごとは、変更するときに思わぬ齟齬が生じるものなので、”変更管理”の仕組み向上に注意して務めていただきたいと思います。

東京電力の回答
前回回答させていただいたシステムは、ご指摘の通り計算機のソフトウエアに関するものです。説明が不足していた点をお詫び申し上げます。
中間報告では、「点検実績の反映間違い」「計画の策定間違い」「発注漏れ」というような膨大な数を取り扱うために発生しやすいミスを防ぐための対策として、ダブルチェックを実施することとしていますが、これをより確実に実施するため、中長期的対策として計算機ソフトウェアによるシステム化を計画しています。
また、中間報告の中でも、点検が計画通り実施できなかった場合の処理など人間系で実施しなければならない問題については、社内マニュアルを見直し、確実に実施することとしていますが、変更管理の仕組み向上等のご指摘の内容も考慮し、継続的な改善に努めてまいります。

コメント2
5号機においては、先行機の起動時に生じた不適合への対応の経験を生かされて、同様の不適合事象の発生件数が減少されたことは評価できます。おそらく、以前の技術委員会で高橋所長が言及されていた、メンテナンスにおける協力会社を含めた一体としての取り組みの改善にも注力されたこともあるのかもしれません。できれば、東京電力と協力会社とが協同で行う活動について、最近どのようにされているのかを紹介いただければ幸いです。

東京電力の回答
一昨年の技術委員会でもご紹介させていただいたカウンターパート活動をはじめ、品質管理、安全管理など各分野で協力企業と一体となった改善活動に取り組んでおりますが、具体的な内容については改めてご紹介させていただきたいと思います。


角山委員
(2月4日)

 資料「5号機起動試験の最終評価」の別紙「プラント全体の機能試験において確認した不適合事象」中、No.16「高感度オフガスモニタ指示ダウンスケール」についてお尋ねします。
質問1
 ダウンスケールが生じた場合、オフガスモニタの感度は上がるのでしょうか、それとも下がるのでしょうか。
質問2
 高感度オフガスモニタは過去の燃料漏れの際に重要な役割を果たしています。
 今回の原因・評価として「当該電動機単体の故障によるものであり・・・」とあり、対策としては「冷却装置を交換し動作が良好であることを確認した」とありますが、この装置は通常定期保守を行わずに、故障の都度装置を交換するような保守形態をとられているのでしょうか。もしそうなら、今後も同様な方法で保守を行う予定でしょうか。重要な機器なら故障が発生しても直ちに異常な動作をしないように、耐故障性を持たせる方法も考えられると思いますがその点については如何でしょうか。
 不適合グレードがGIIIと高くはありませんが、モニタの機能が重要と思われるため質問させて頂きました。

東京電力の回答
質問1について
 当該モニターは冷却装置の電動機が故障し、検出器の温度が上昇すると、精度の高い測定ができなくなるため、強制的に指示をダウンスケールさせています。
 したがって本事象により検出感度が変わることはありません。
質問2について
 高感度オフガスモニタは定期検査の都度点検をしており、起動前には機能が健全であることを確認しています。
 しかしながら、本モニタは燃料からの微小な漏えいを早期に検知するために、非常に敏感な機器で構成されており、運転中に機器の故障も想定されることから、交換部品をあらかじめ準備し、機器故障時に迅速に交換できる運用としています。
 ご指摘のとおり、機器の信頼性を向上させることも重要な課題と考えておりますが、現状は定期点検に加えて交換部品を準備する保守形態としています。
 なお、当該モニターが故障しても別に設置されている放射線モニターでオフガス濃度の監視は可能です。

質問1の回答について、「精度の高い測定ができなくなるため、強制的に指示をダウンスケールさせています」ということは、検出感度は変わらないが精度が低下するということでしょうか。そうすると検出はされても指示精度が低下したために、変化を認識出来ないという事態は生じないのでしょうか。
オフガスモニタは微小な変化を検出出来、燃料漏れの際の効果が非常に大きいため、せっかくオフガスモニタが検出してもそれを認識出来ない事態が生じることがないか気になります。

東京電力の回答
ダウンスケール(=断線や機器の電源が喪失したときに指示値を計測範囲未満とし計測値を表示しない)時は本設備による監視はできなくなります。
先にご指摘いただいたとおり、この間、オフガスの微小な変化は捉えなれなくなることから、極力短時間で復旧できるよう交換部品を準備しています。

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