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新潟県女性のチャレンジサイト~事例紹介~坂下可奈子さん」


坂下可奈子さん

中山間地でいきいきと幸せに生きる!そんな暮らしを実現し、未来にバトンを渡したい

農業・フリーマガジン「ChuCle(ちゅくる)」編集長

 坂下可奈子さん

Iターンで池谷集落に

 平成23年2月に十日町市の北東部に位置する池谷集落に移住し、農業に従事しながら、地域づくりの活動をしている坂下可奈子さん。雪のほとんど降らない香川県の出身だ。
 池谷集落との出会いは、大学時代のとき。東京の大学に通っていた平成21年の夏、友人と池谷集落での農業体験に参加した。限界集落と聞き、とても廃れたところだと思っていたが、住民の方は皆前向きで、集落を存続させたいという思いで一つになっていることに、たいへん感銘したと当時を振り返る。
 農業体験のとき、集落で行われる盆踊り大会のビデオ撮影を、たまたま依頼された。坂下さんは撮影するだけではつまらないと思い、インタビューも試みた。「農業のどこが良くて、どういう暮らしをしていて、何を思ってここにいるのか」など自らの疑問を尋ねてみた。
 やがて、「もっと知りたい」と土日を利用して何度も通う中で、様々な感動に出合った。価値観が変わり、そこに住む「寛容であるけれども強靱な」生き方をしている人たちに引きつけられていき、「こういう大人になりたい」と思いを強くしていったという。
 大学卒業後、内定が決まっていた広告代理店を断り、十日町市の池谷集落に移住することにした。

1割の喜びが全てをカバーしてくれる

 移住後の生活は、思っていた以上に大変だという。農業は、「生産、販売、営業、事務作業」を分担して家族経営する分野で、稼ぐのは本当に厳しいと痛感している。それでも、地域の人は家族のように接してくれ、見ず知らずの方からも手紙や電話で「応援しています」、「頑張ってください」など励ましの言葉をいただき、本当に恵まれていると感じているという。
 ここでの生活の9割は大変で、つらいことが多いけれど、残りの1割が全てをカバーしてくれる。ナスが昨日よりもよく育っているとか、村の人からさりげないけれど含蓄のある言葉を聞いたとか、そういう些細なことが気持ちを楽にしてくれる、それが醍醐味なのだと語る。
 今年(平成26年)の5月からは、個人事業主として新規就農する予定だが、女性は出産など様々なライフイベントがあり、長期計画が立てにくいということに気づいた。農業においても、ライフイベントに合わせて柔軟な働き方ができるようになればいいという。

中山間地のくらしを情報発信

 暮らしていく中で、農業や中山間地について「もっと風通しを良くしたい」、「この場所やそこに住む人、自分たちのことをもっとわかって欲しい」と思っていたところに、中越地域の魅力を発信する冊子作りの話が舞い込んできた。
 昨年、新たに、「この地域が未来に向けてずっと繋がって欲しい」という同じ思いを抱く中越地域に移住してきた女性4人を中心に、「外からの視点で、ここの現場、物事、人」を発信していこうと、「ChuClu(ちゅくる)」の制作を始めた。
 ちなみに「ChuClu(ちゅくる)」という名前は、「中山間地に来る」という意味と、「産地が作る現場だから」という意味からきている。今後は、応援してくれる皆さんの期待に添うようサポーター制など新たに仕組みづくりを始めるという。
 また、女性用農作業着「NORAGI(野良着)」の開発にも取り組んだ。開発のきっかけは、十日町市内で開く農業女子会でよく話題になる「自分たちの希望に叶う女性用農作業着がない。」という市販の作業着への不満から。「ぜひ、自分たちの希望をかなえたものが欲しい!作りたい!」と考え、農作業体験を通じて知り合った東京の服飾会社勤務の女性の協力を得て、製品化の夢がかなったという。あまり予想していなかった50~70代の女性からの問い合わせも多く、多世代の方からアクションがあったのは本当に嬉しいという。「NORAGI(野良着)」が、地域の女性が様々なライフイベントを楽しみながら、仕事にも前向きに取り組み、輝くための後押しになってくれたらと語る。
 坂下さんは「ChuClu(ちゅくる)」や「NORAGI(野良着)」などのツールを使って、一歩ずつ多世代間のネットワークが作られたり、ここで生きてきた人たちの思いなども反映できたらいいと考えている。

幸せなおばあちゃんになって集落を次世代につなげたい

 坂下さんの最終的な目標は、「たくさんの子どもとたくさんの孫がいる幸せなおばあちゃんになって、バトンを次に渡すこと」だという。そのためには、山地においても、田んぼや畑をやりながら自分の好きなこともやって、いきいき生活ができるのだということをきちんと示していけるようになることと語る。
 それにはまず、昨年スタートした、NORAGI(野良着)や「ChuClu(ちゅくる)」などをしっかりと育てていき、5月から始まる農業経営も充実した取組にしたいという。
 現在、既に様々なところに地殻変動を起こしている坂下さんであるが、今後もそのしなやかな農業女子の生き方は、他の農業女子に勇気と希望を与えることでしょう。

チャレンジするあなたへのメッセージ

 ほんのちょっとの勇気が、たくさんの笑顔に!

(平成26年2月取材)