平成21年8月24

 

新潟県知事

泉田 裕彦 様

                   

新潟県原子力発電所の安全管理

に関する技術委員会

       座長 代谷 誠治

 

 

 

柏崎刈羽原子力発電所6号機の設備健全性及び耐震安全性の評価

 

 

柏崎刈羽原子力発電所6号機の設備健全性及び耐震安全性について、8月13日に開催した技術委員会において、東京電力及び原子力安全・保安院からの報告に加えて「設備健全性、耐震安全性に関する小委員会」及び「地震、地質・地盤に関する小委員会」の検討結果の報告を受けて審議を行い、技術委員会としては、今後6号機が起動試験に進むことに技術上の問題はないと判断しました。

なお、今後、6号機の起動試験実施にあたっては、7号機起動試験で得られた経験を十分に反映し、不適合への対策とプラント状態の監視強化に努め、安全に十分配慮して実施するとともに点検・検査の結果を開示し、また、もしも不適合が発生した場合には、必要に応じて技術委員会の確認を受けること、及び最終段階の試験結果を技術委員会に報告して審議に付すよう要請します。

 

 

 

1 中越沖地震を受けた施設の健全性評価について

(1)建物・構築物の健全性評価結果について

・東京電力による点検では、各部位で要求性能を損なう様な、ひび割れ・変形等は確認されず、解析においても評価基準値を満足していることが確認された。

また、コンクリート壁に入った微小なひび割れについては、全体の構造特性に影響がないことが実験結果により確認されている。

・原子力安全・保安院が、審議会における審議、現地調査や立入検査などを踏まえ、点検結果と地震応答解析結果を照合した上で総合評価を行い、健全性が確保されていると判断した。

・技術委員会では、これらの報告に基づき審議を行い、建物・構築物の健全性が確保されていると判断した。

 

(2)設備の健全性評価結果(機器単位)について

 ・東京電力による点検及び解析では、安全上重要な設備に地震による影響と考えられる重大な異常は確認されなかった。

・原子力安全・保安院が、JNESのクロスチェックの結果も踏まえて、東京電力が実施した点検及び解析は適切に実施されており、その結果も妥当なものと評価した。

・技術委員会では、これらの報告に基づき審議を行い、機器単位の健全性が確保されていると判断した。

 

(3)設備の健全性評価結果(系統単位)について

・東京電力による原子炉の蒸気発生前までに行う評価では、

@ 機器レベルでは、原子炉安全上重要な設備について、構造強度や機能に影響を及ぼす地震影響は確認されておらず、地震影響を受けた主タービンや天井クレーンなど6機器の不適合はいずれも復旧したとしている。

A    系統レベルでは、全ての項目で判定基準を満足しており、異常のないことを確認するとともに、地震の影響を示す兆候は確認されなかったとした。

・原子力安全・保安院が、@系統機能試験時にしかできない機器単位の点検、A燃料装荷前・後に実施する試験、B燃料装荷の安全性確認、の実施状況及び結果について確認し、プラント全体の機能試験に進むことは、安全上問題ないと評価した。

・技術委員会としては、これらの報告に基づき審議を行い、系統単位の健全性が確保されており、プラント全体の機能試験に進むことに問題はないと判断した。

 

 

2 基準地震動に対する耐震安全性の評価について

(1)耐震安全性評価結果(建物・構築物)について

・東京電力が、7号機の耐震安全性評価も踏まえ、地盤構造を詳細に検討し、バネ定数を若干変更したものの、いずれの建物も評価基準値を下回っていることを確認した。

・原子力安全・保安院が、審議会委員も同行して実施した立入検査等も踏まえ、東京電力の評価方法は適切であり、耐震安全性は確保されると判断した。

・建屋の構造が同様な7号機と比較して、中越沖地震で観測された上下方向の加速度が大きいことについては、東京電力が、水平方向の地震動により励起されたロッキング振動を原因として推定し、その要因を考慮して耐震安全性の評価を行った。

・「地震、地質・地盤に関する小委員会」、「設備健全性、耐震安全性に関する小委員会」のいずれにおいても、上下動が大きかった原因がロッキング振動であると断定することは論理として無理があるとの意見はあったが、ロッキング振動で現象を説明できるとしたこと自体に異論はなかった。

なお、地盤構造等が当該事象にどのように影響しているかについては未だ明らかでなく、技術委員会としては今後引き続き検討を要する課題の一つと考えるものの、現段階において、建物・構築物の耐震安全性を大きく損なうものではないと判断した。

 


(2)耐震安全性評価結果(機器・配管系)について

・7号機の耐震安全性評価と評価条件が異なる設備について、東京電力が、地震時の挙動、実態に即した現実的な評価を行った、RPVペデスタルと使用済み燃料貯蔵ラックの確認結果を基に、設備の耐震安全性に問題はないとした。

また、評価基準値と発生応力(応答値)との差が小さい設備について、発生応力が評価基準値の7割を越える設備の評価方法が示され、その評価結果に基づいて設備の耐震安全性に問題はないとした。

・原子力安全・保安院が、東京電力の評価方法は適切であり、その結果から、耐震安全性は確保されると判断した。

・ロッキング振動の影響について、東京電力による検証結果では、ロッキング振動による機器・配管系の発生応力は軽微であり、耐震安全性評価の妥当性を損なう影響を与えることはないとした。

 なお、ロッキング振動が鉛直方向加速度に及ぼす影響を、今後、地震応答解析にどのように考慮していくかについて、原子力安全・保安院が、6号機の推定結果を踏まえて、なお一層の知見の収集や研究による中長期的な検討が必要との考えを示した。

「設備健全性、耐震安全性に関する小委員会」において、東京電力が、RPVペデスタルの構造強度(剛性)の経年的な変化について、コンクリート及び鋼板溶接部の経年変化によるペデスタルの剛性低下が耐震安全性に与える影響は僅かであると考えられるが、鋼板溶接部の状態についても今後検討していくとした。

・技術委員会としては、これらの報告に基づき審議を行い、機器・配管系の耐震安全性に問題はないと判断した。

 

(3)地震随伴事象に対する考慮について

 ・東京電力の評価では、

@ 津波に対する安全性について、想定津波による上昇水位及び下降水位に対して検討した結果、安全性に問題はないとした。

A 活断層の変位に伴う建屋基礎地盤の変形評価について、耐震設計上考慮する活断層の変位によって生じる基礎地盤の変形を解析等により評価した結果、原子炉建屋等の基礎底面に生じる傾斜により、重要機器の機能が損なわれることはないとした。

・原子力安全・保安院が、東京電力の評価が妥当であると判断した。

・技術委員会としては、これらの報告に基づき審議を行い、地震随伴事象に対する安全性に問題はないと判断した。

 

(4)原子炉建屋基礎地盤の安定性評価について

・東京電力が、想定すべり線における安全率は評価基準値を上回っていることなどから、原子炉建屋基礎地盤が基準地震動による地震力に対して十分な支持性能をもつと評価した。

・原子力安全・保安院が、東京電力の評価が妥当であると判断した。

・技術委員会としては、これらの報告に基づき審議を行い、原子炉建屋基礎地盤の安定性に問題はないと判断した。

 

3 プラント全体の機能試験(起動試験)計画について

・東京電力が、7号機と同様、地震を受けたことによるプラント全体の影響を確認するとともに、今後、継続的に運転が可能であるか否かを確認し、評価するとしている。

・原子力安全・保安院が、地震影響や長期間停止を適切に考慮した計画であると評価した。

また、試験中は、@保安検査で保安規定の遵守状況を、A立入検査でプラント全体の機能試験を、それぞれ確認する方針としており、更に、安全確認として、不適合事象の処理状況等を確認することとしている。

・東京電力の計画では、7号機の起動試験において、低出力運転を継続したことに起因する不適合が発生したことを踏まえて、同様の運転パラメータを取得する際に7号機と同種の事象が発生することがないよう対策がとられている。

・技術委員会としては、これらの報告に基づき審議を行い、起動試験計画に問題はないと判断した。

 

 

以上